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インフルエンザにかかったことがないのはなぜ?不顕性感染・免疫・予防策を2026年最新情報で徹底解説

倉木 俊樹 倉木 俊樹 • 更新: • 公開: • 読了約 17 分
目次

「家族や職場の人は毎年インフルエンザにかかるのに、自分だけ一度もかかったことがない」。そんな疑問を抱いたことはありませんか。インフルエンザにかかった経験がない人には、感染する機会が少なかった、感染しても症状が出なかった、過去の軽い症状を風邪だと思っていたなど、いくつかの可能性が考えられます。

厚生労働省の「令和8年度冬季 急性呼吸器感染症(ARI)総合対策に関するQ&A」は2026年9月30日版に更新され、国立健康危機管理研究機構(JIHS)も10月23日にインフルエンザの発生動向を公表しました。2026年は8月28日に流行入りが公表されており、例年より早い時期から注意が必要なシーズンです。感染しても発症しない仕組み、免疫とワクチンの関係、日常生活で実践できる予防策を最新情報とともに整理します。

【理由を解説】インフルエンザに一度もかかったことがない人には何が起きている?

インフルエンザかかったことがない

インフルエンザにかかったことがない人には、いくつかの異なる状況が考えられます。重要なのは、「インフルエンザを発症したことがない」という経験と、「インフルエンザウイルスに一度も感染していない」という事実を区別することです。

1.ウイルスに接触する機会が少なかった

感染するかどうかは、免疫だけで決まるわけではありません。周囲で流行していたか、感染者とどの程度接触したか、室内の換気状況やマスクの使用状況など、日々の環境も影響します。

人混みを避ける習慣がある人、職場や学校で感染者と接触する機会が比較的少ない人などは、結果的に感染の機会が少なかった可能性があります。ただし、外出が少ないことだけで感染を完全に防げるわけではありません。

2.感染しても症状が出なかった

インフルエンザウイルスに感染しても、発熱やせきなどの症状が現れないことがあります。これは「不顕性感染」と呼ばれる状態です。感染していたとしても本人に自覚がなければ、インフルエンザにかかった記憶がないのは自然なことです。

米国疾病対策センター(CDC)が紹介する2017~2023年の家庭内研究では、インフルエンザ検査で陽性となった人のうち、8%に症状がなかったと報告されています。ただし、これは特定の研究における結果であり、日本の人口全体にそのまま当てはめられる割合ではありません。

3.軽い症状を風邪だと思っていた

インフルエンザというと、高熱や強い関節痛で寝込むイメージを持つ人もいるでしょう。しかし、症状の現れ方には個人差があります。発熱が目立たなかったり、倦怠感やのどの痛みなどが中心だったりする場合、一般的な風邪だと思って過ごしていた可能性もあります。

インフルエンザと診断されたことがない人でも、過去の感染を完全に否定できるわけではありません。反対に、過去に強い風邪の症状があったからといって、インフルエンザだったと断定することもできません。

4.免疫によって発症しにくかった可能性がある

過去の感染やワクチン接種などによって獲得した免疫が、ウイルスへの反応に影響している可能性もあります。ウイルスが体内に侵入しても、免疫反応によって増殖が抑えられれば、症状が軽く済むことがあります。

ただし、免疫が働くことと、ウイルスへの感染そのものを完全に防げることは別です。「免疫力が高いから絶対にインフルエンザにかからない」と考えるのは正確ではありません。

なお、インフルエンザにかかったことがない人の実態を、本人の申告だけで感染歴まで含めて判定することは困難です。診断歴がない人と、検査などで感染歴がないと確認された人を同じ集団として扱うことはできません。

【不顕性感染とは】インフルエンザに感染しても発症しない理由

インフルエンザについて理解するうえで、まず押さえておきたいのが「感染」と「発症」の違いです。厚生労働省のQ&Aでは、ウイルスが体内に入り、細胞に侵入して増殖する状態を感染と説明しています。その後、症状が現れることが発病です。

つまり、ウイルスに感染した人が全員、同じ程度の症状を経験するわけではありません。

不顕性感染と軽症感染の違い

不顕性感染は、感染しているにもかかわらず、明らかな症状が現れない状態を指します。一方、軽症感染は、感染後に何らかの症状が出ているものの、その程度が比較的軽い状態です。

不顕性感染では、本人が発熱や倦怠感などを自覚しないため、感染に気づかない可能性があります。症状がないことだけを根拠に、感染していなかったと判断することはできません。

症状がなくても人にうつす可能性はある

注意したいのは、症状がないことと、他人に感染させる可能性がないことは同義ではない点です。厚生労働省は、インフルエンザなどの急性呼吸器感染症について、不顕性感染や軽い症状にとどまる場合があることを示しています。

また、インフルエンザでは発症前日から発症後3~7日間、鼻やのどから感染性のあるウイルスが排出されるとされています。排出期間には個人差があり、解熱後もウイルスが排出される場合があります。

したがって、自分はインフルエンザにかかったことがないと思っていても、家族や職場の人に感染させる可能性を完全に否定することはできません。流行期には、症状の有無だけで安心せず、基本的な感染対策を続けることが大切です。

【免疫の仕組み】インフルエンザにかからない体質は本当にあるのか

インフルエンザにかからない人を見ると、「生まれつき免疫力が強いのでは」と考える可能性があります。確かに、感染や発症のしやすさには個人差があります。しかし、インフルエンザに対して生涯にわたって感染しないと保証される一般的な体質がある、と考える根拠はありません。

抗体だけでなく、免疫全体の働きが関係する

ウイルスに対する免疫には、抗体による防御のほか、感染した細胞に対応する免疫細胞など、複数の仕組みがあります。過去の感染やワクチン接種によって形成された免疫記憶も、その後の感染や発症時の反応に影響します。

ただし、インフルエンザウイルスは抗原性が変化しながら流行します。過去に感染した経験があっても、別のシーズンに流行するウイルスに対して十分な防御が得られるとは限りません。

「免疫力が高い人」の特徴を単純化しない

十分な睡眠、バランスのよい食事、適度な運動などは、健康を維持するうえで大切です。厚生労働省も、十分な休養とバランスの取れた栄養摂取を感染症対策の一つとして挙げています。

一方、特定の食品を食べている、体温が高い、風邪をひきにくいといった特徴だけで、インフルエンザに対する免疫が強いと判断することはできません。健康的な生活を続けていても感染することはあります。

インフルエンザにかかったことがない人の特徴を考えるなら、「特別な体質がある」と決めつけるより、感染機会、過去の免疫、症状の出方、予防行動などを分けて考えるほうが実態に近づけます。

【風邪との見分け方】症状・潜伏期間・感染経路を比較

インフルエンザにかかったことがないと思っている人の中には、以前の症状を風邪と判断していた人もいる可能性があります。インフルエンザと一般的な風邪には共通する症状があり、症状だけで確実に区別することは困難です。

比較項目 インフルエンザ 一般的な風邪
症状の始まり方 比較的急に現れることが多い 徐々に現れることが多い
発熱 38℃以上の発熱が特徴の一つ。ただし、必ず高熱が出るわけではない 発熱しない場合や、比較的軽い発熱の場合もある
全身症状 頭痛、筋肉痛、関節痛、強い倦怠感などが目立つことがある 鼻水、鼻づまり、のどの痛みなどが中心になりやすい
潜伏期間 一般に1~5日程度 原因となるウイルスによって異なる
感染経路 飛沫感染、接触感染など 原因ウイルスにより異なるが、飛沫感染や接触感染などがある
確実な判別 症状だけでは確定できず、医師の診察や検査が参考になる ほかの呼吸器感染症との区別が必要な場合がある

表は一般的な傾向を整理したもので、すべての患者に当てはまるわけではありません。インフルエンザでも高熱が出ないことがあり、風邪でも発熱や強い倦怠感を伴うことがあります。新型コロナウイルス感染症など、症状が似ている感染症もあります。

感染経路と潜伏期間も知っておきたい

インフルエンザは、感染者のせきやくしゃみなどによる飛沫、ウイルスが付着した手指を介した接触などによって広がります。厚生労働省の2026年度Q&Aでは、急性呼吸器感染症全般について、飛沫感染、エアロゾル感染、接触感染などへの対策を案内しています。

潜伏期間は、ウイルスに感染してから症状が現れるまでの期間です。インフルエンザでは通常1~5日程度とされますが、感染した人が必ず発症するわけではありません。

過去に「少し熱っぽかっただけ」「鼻水が出ただけ」という経験があっても、それがインフルエンザだったかどうかは症状の記憶だけでは判定できません。反対に、症状がなかったからといって、過去の感染を否定することもできないのです。

【2026年最新情報】今年のインフルエンザ流行状況とワクチンの効果

2026年のインフルエンザ対策で押さえておきたいのは、流行入りの時期が早かったことと、秋の段階ですでに相当数の患者報告が出ていることです。

厚生労働省の「令和8年度冬季 急性呼吸器感染症(ARI)総合対策に関するQ&A」によると、2026年は8月28日にインフルエンザの流行入りが公表されました。これは、感染症法が施行された1999年以来、2009年に次いで2番目に早い流行入りです。

JIHSが公表した第42週のデータ

国立健康危機管理研究機構の2026年10月23日公表資料では、第42週の定点当たり報告数は9.08、患者報告数は3万3,864人でした。前週の定点当たり報告数12.81からは減少しています。

同じ資料によると、インフルエンザによる入院報告数は983例で、前週の1,133例から減少しました。また、直近5週間に検出されたウイルスでは、A型H1N1pdm09が142件で97%を占め、A型H3亜型が2件、B型が2件と報告されています。

ただし、2025年第15週からインフルエンザの発生動向を把握する定点医療機関の仕組みが変更されています。JIHSは、過去のシーズンとの比較に注意が必要と説明しており、従来の流行レベルマップや罹患数推計などの情報提供も当面停止しています。単純な前年比較ではなく、最新の週報と公式発表を確認することが大切です。

インフルエンザワクチンは何を防ぐのか

厚生労働省によると、現在のインフルエンザワクチンは、ウイルスへの感染そのものを完全に防ぐものではありません。一方、感染後の発症を抑える効果や、発症した場合の重症化を防ぐ効果が認められています。

ワクチンを接種してもインフルエンザにかかることはありますが、それだけでワクチンが無意味ということにはなりません。感染の有無だけでなく、発症や重症化のリスクを減らすという観点から考える必要があります。

また、インフルエンザワクチンは、そのシーズンに流行すると予測されるウイルスをもとに製造されます。前年に接種した人も、2026年度の接種について医師や医療機関に相談することが勧められています。

厚生労働省は例年、12月中旬までに接種を終えることが望ましいとしています。ただし、2026年はすでに8月に流行入りしているため、接種を検討している場合は、時期や健康状態に応じて早めに医療機関へ相談するとよいでしょう。

【今日から実践】インフルエンザにかからないための予防方法

インフルエンザにかかったことがない人でも、今後の感染を完全に避けられる保証はありません。大切なのは、特定の体質や民間療法に頼るのではなく、効果が期待できる予防策を組み合わせることです。

1.帰宅後は石けんと流水で手を洗う

手洗いは、手指などに付着した病原体を物理的に取り除く基本的な対策です。外出後や食事の前などに、石けんと流水で丁寧に手を洗いましょう。厚生労働省は、インフルエンザウイルスに対してアルコール製剤による手指衛生も有効としています。

2.室内の換気と湿度管理を行う

厚生労働省は、季節を問わず室内の換気を行うよう案内しています。常時換気設備や換気扇を活用し、窓を開けられる場合は対角線上の2か所を開放すると効果的です。

また、乾燥した環境では気道粘膜の防御機能が低下しやすくなるため、乾燥する室内では加湿器などを使い、湿度50~60%を目安に保つことも有効とされています。

3.流行期は状況に応じてマスクを着用する

人が多く集まる場所や換気が十分でない場所では、不織布マスクの着用が感染リスクを下げるための選択肢になります。特に高齢者や基礎疾患のある人、妊婦など、重症化リスクに配慮が必要な人は、流行状況に応じて人混みを避けることも検討してください。

せきやくしゃみがある場合は、周囲に飛沫を広げないための咳エチケットも欠かせません。

4.睡眠と食事を整える

十分な睡眠、バランスのよい食事、適度な休養は、健康状態を維持するための基本です。ただし、睡眠や食事を整えれば感染しないと保証されるわけではありません。生活習慣の改善は、手洗いや換気、ワクチン接種などの予防策と併せて考えましょう。

5.症状が出たら無理をせず、早めに相談する

急な発熱、強い倦怠感、筋肉痛、せきなどが現れた場合は、インフルエンザを含む呼吸器感染症の可能性を考え、無理に出勤・登校せず、医療機関への相談を検討してください。

特に高齢者、乳幼児、基礎疾患のある人などは重症化に注意が必要です。息苦しさ、意識状態の異常、強い脱水などの症状がある場合は、速やかに医療機関に相談してください。

【インフルエンザにかかったことがない】に関するよくある質問(FAQ)

Q1:インフルエンザに一度もかかったことがない人は、ワクチンを接種しなくても大丈夫ですか?

A1:過去に発症した経験がないことだけを理由に、ワクチンが不要とは判断できません。インフルエンザワクチンには発症や重症化を防ぐ効果があるため、年齢や健康状態、接種歴などを踏まえて接種を検討しましょう。

Q2:インフルエンザに感染しても症状がなければ、人にうつしませんか?

A2:症状がない場合でも、感染させる可能性を完全には否定できません。不顕性感染があることを踏まえ、流行期には手洗いや換気などの基本的な対策を続けることが大切です。

Q3:インフルエンザにかからない特別な体質はありますか?

A3:感染や発症のしやすさには個人差がありますが、生涯にわたってインフルエンザに感染しないと保証される一般的な体質があるとはいえません。感染機会、免疫の状態、予防行動など複数の要因が関係します。

インフルエンザにかかったことがないと感じる理由には、感染機会が少なかったこと、感染しても症状が現れなかったこと、過去の軽い症状を風邪と認識していたことなど、さまざまな可能性があります。本人の自覚だけで、これまで一度も感染していないと判断することはできません。

また、免疫の働きには個人差がありますが、インフルエンザに絶対にかからない体質があると考えるのは適切ではありません。感染、発症、重症化はそれぞれ異なる段階であり、ワクチンも感染を完全に防ぐのではなく、発症や重症化のリスクを減らすために役立ちます。

2026年は8月28日に流行入りが公表され、10月23日公表の第42週データでも多くの患者が報告されています。これまで発症した経験がない人も、手洗い、換気、適切なマスク着用、十分な休養、ワクチン接種の検討を続けることが大切です。過去の経験だけで安心せず、厚生労働省と国立健康危機管理研究機構の最新情報を参考に、今シーズンの感染対策を進めましょう。

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トレンドリサーチャー 倉木 俊樹
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