みかんの皮をむいたとき、果肉にくっついている白い筋。見た目や口当たりが気になり、丁寧に取り除いてから食べる人もいるのと考えられます。一方で、「白い部分には栄養があるから、取らずに食べたほうがよい」という話も耳にします。では、実際にはどちらが正しいのでしょうか。
農林水産省によると、みかんの白い筋には、植物の体内で水分や栄養分を運ぶ維管束という組織があります。また、みかんの白い部分や薄皮には食物繊維などが含まれ、柑橘類に特徴的なポリフェノールの一種であるヘスペリジンも知られています。ただし、白い筋だけを食べれば特別な健康効果が得られるわけではありません。正体や栄養の特徴、苦味の理由、食べ過ぎの注意点を整理し、残すか取るかを判断するためのポイントを解説します。
【正体を解明】みかんの白い部分はアルベド?白い筋との違い

みかんの白い部分について調べると、「アルベド」という言葉がよく登場します。ただし、皮の内側に広がる白い部分と、果肉の袋に付着する細い筋は、厳密には区別して理解する必要があります。
アルベドとは何かアルベドとは、柑橘類の果皮の内側にある白い海綿状の組織を指します。みかんの外側にある橙色の部分がフラベド、内側の白い部分がアルベドです。皮をむいたときに果皮の裏側に残る、ふわふわとした白い部分が代表例です。
アルベドは果実を構成する組織の一部で、食物繊維などを含んでいます。単なる不要な付着物ではなく、植物の構造を形づくる組織です。
果肉に付着する白い筋の正体は維管束一方、みかんの房の表面に見られる細い白い筋について、農林水産省は、栄養分や水分を運ぶ「維管束」と説明しています。葉脈に似た構造で、果実が成長する過程で必要な物質を運ぶ役割を担っています。
日常会話では、果肉に付着する白い筋もまとめて「アルベド」と呼ばれることがあります。しかし、厳密には果皮内側の白い組織と、房に付着する維管束は同じものではありません。この違いを押さえておくと、みかんの白い部分についての情報を正しく理解しやすくなります。
また、房を包む薄い膜は「じょうのう膜」と呼ばれます。白い筋、じょうのう膜、アルベドは位置も構造も異なりますが、いずれもみかんを構成する組織です。食べる際にまとめて取り除く必要はありません。
【栄養を比較】みかんの白い筋と薄皮にはどんな成分がある?
白い筋を残すメリットを考えるうえで、注目したいのが食物繊維とヘスペリジンです。ただし、白い筋だけの栄養価と、薄皮を含む袋全体の栄養価は区別しなければなりません。
食物繊維は薄皮を含めて摂取できるみかんの薄皮には食物繊維が含まれています。文部科学省の「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」に基づく食品成分データベースでは、普通の温州みかんについて、じょうのうの食物繊維総量は可食部100g当たり1.0g、砂じょう、つまり果汁を含む小さな粒の部分は同0.4gとされています。
ここで注意したいのは、じょうのうの数値は白い筋だけを切り分けて測定した値ではないという点です。薄皮を含む袋の部位と果肉の粒の部位を比較したデータであり、白い筋だけにどれほどの食物繊維があるかを、この数値から直接判断することはできません。
それでも、白い筋や薄皮を残して食べれば、果肉だけを食べる場合とは異なる組織も一緒に摂取できます。食物繊維を含む食品を日々の食事に取り入れたい人にとって、みかんを丸ごとに近い形で食べることには合理性があります。
ヘスペリジンは柑橘類に含まれるポリフェノールみかんの白い筋に関連してよく紹介される成分が、ヘスペリジンです。これは柑橘類に含まれるフラボノイドの一種で、ポリフェノールに分類されます。果皮や袋、筋などにも含まれ、柑橘類の機能性成分として研究されています。
ヘスペリジンは、かつて「ビタミンP」と呼ばれることもありました。ただし、ビタミンCやビタミンB群などと同じ意味での必須ビタミンではありません。名称だけから、通常のビタミンと同じ働きや必要量があると考えないようにしましょう。
ヘスペリジンについては、血管機能や血流、抗酸化作用などとの関連が研究されています。一方で、成分の研究で示された作用が、そのまま日常的にみかんの白い筋を食べることによる健康効果を保証するわけではありません。特定の病気を予防したり、治療したりする目的で白い筋を大量に食べることは勧められません。
白い筋を残すと何が違うのか白い筋を残す最大の利点は、食べられる組織を必要以上に捨てずに済むことです。薄皮を含めて食べることで、果肉の粒だけでは摂取できない食物繊維なども一緒に取り入れられます。
ただし、白い筋を取るとみかんの栄養がすべて失われるわけではありません。果肉にもビタミンCやカリウムなどが含まれています。農林水産省も、温州みかんの栄養的な特徴としてビタミンCやカリウムを挙げています。白い筋を残すかどうかだけで、みかんの栄養価を判断する必要はありません。
【結論を比較】みかんの白い部分は取ったほうがいい?残すべき?
みかんの白い部分は、基本的に取らずに食べても問題ありません。白い筋が付いたまま食べること自体に、一般的な健康上の問題はありません。食物繊維などを含む組織を一緒に摂取できるため、口当たりが気にならなければ残して食べる方法が合理的です。
一方で、白い筋をきれいに取って食べることも間違いではありません。栄養面のメリットを理由に、苦手な食感を我慢する必要はないからです。
| 食べ方・部位 | 特徴 | おすすめの判断基準 |
|---|---|---|
| 白い筋を残す | 維管束などの組織を果肉と一緒に食べられる | 食物繊維などを含む部位も摂取したい人 |
| 白い筋を取る | 筋の舌触りや見た目が気になりにくい | 食感を優先したい人や子どもなど |
| 薄皮ごと食べる | じょうのう膜や筋も含めて食べられる | 薄皮を無理なくかみ切れる人 |
| 薄皮も取り除く | 口当たりを柔らかくしやすい | 薄皮が苦手な人や、食べやすさを優先したい人 |
食感が気にならず、果実の食べられる部分をなるべく無駄にしたくない人は、白い筋を残す食べ方が向いています。普段の食事で食物繊維を意識している人にとっても、みかんの薄皮や筋を一緒に食べることは、手軽な選択肢の一つです。
取り除いてもよい人白い筋の繊維感や苦味が苦手な人は、取り除いて構いません。食事は継続できることが大切です。白い筋を取ったからといって、みかんの栄養がなくなるわけではありません。
また、食べやすさには個人差があります。薄皮や筋をかみ切りにくい場合は、食べる人に合わせて取り除く、房を小さく分けるなどの工夫をするとよいでしょう。
【苦味と消化】みかんの白い筋はなぜ苦い?食べ過ぎるとどうなる?
みかんの白い筋を取る理由としてよく挙がるのが、独特の苦味や口に残る繊維感です。これらは必ずしも品質の異常を意味するものではありません。
白い部分が苦く感じられる理由柑橘類の苦味には、ナリンギンやリモノイド類などの成分が関係します。ナリンギンはグレープフルーツや夏みかんなどの苦味に関わるフラボノイド系の成分で、リモニンなどのリモノイド類も柑橘類の苦味に関係しています。
ただし、柑橘類の種類によって成分の構成や含有量は異なります。グレープフルーツや夏みかんなどで知られる苦味の特徴を、そのまま温州みかんの白い筋に当てはめることはできません。白い筋が少し苦く感じられても、それだけで傷んでいると判断する必要はありません。
なお、苦味がいつもより極端に強い、異臭がする、カビが生えているといった場合は、筋の苦味とは別の問題です。無理に食べず、果実の状態を確認してください。
白い筋は消化に悪いのか白い筋や薄皮には食物繊維が含まれます。食物繊維は人の消化酵素では分解されにくい成分ですが、消化されにくいことと、食べてはいけないことは同じではありません。
通常の食事量で、よくかんで食べられる人なら、白い筋を取り除く必要は基本的にありません。ただし、胃腸の調子が悪いときや、繊維の多い食品でおなかが張りやすい人は、薄皮や筋の量を調整すると食べやすくなる場合があります。
かみ切りにくいものを丸のみすることは避け、食べる人の年齢やかむ力に合わせて大きさを調整しましょう。
みかんの白い筋を食べ過ぎるとどうなる?白い筋を普段の食事の範囲で食べることについて、特別な過剰摂取を心配する必要は一般的にありません。一方で、みかんを大量に食べれば、白い筋以外の果肉や糖質、酸味の影響も含め、胃腸に負担がかかることがあります。
特に、短時間に大量のみかんを食べたり、普段あまり食物繊維を取らない人が急に摂取量を増やしたりすると、おなかの張りや不快感につながる場合があります。白い筋だけを大量に集めて食べる必要もありません。
体調や食べやすさに合わせて、無理のない量を楽しむことが基本です。白い筋の健康効果を期待して、食べる量を極端に増やすのは避けましょう。
【簡単な取り方】みかんの白い筋をきれいに取る方法
白い筋を取り除きたい場合は、むき方を少し工夫すると作業が楽になります。農林水産省の広報誌「aff」でも、ヘタ側から皮をむく方法が紹介されています。この方法は、白い筋を取りやすくする工夫の一つです。
方法1:ヘタ側から皮をむく最初に、みかんのヘタ側から皮をむきます。皮と一緒に白い筋が剥がれやすくなるため、筋を取り除きたい人に向いています。強く引っ張りすぎると果肉まで傷つくことがあるので、皮を少しずつ剥がしましょう。
方法2:房を分けてから指で取る皮をむいたら房を一つずつ分け、表面に付いている白い筋を指先でつまみます。筋の根元を軽く引くようにすると、比較的取りやすくなります。細い筋をすべて取ろうとすると時間がかかるため、目立つ部分だけを取り除く方法でも十分です。
方法3:食べる直前に必要な分だけ取る白い筋を完全に取り除くことにこだわる必要はありません。気になる部分だけを取れば、作業時間を短縮できます。子どもなど、薄皮や筋をかみ切りにくい人には、房を小さく分けたり、食べやすい形にしたりする工夫も役立ちます。
取り除いた白い筋を無理に食べる必要はありません。栄養を意識する場合も、食べやすさと日々の食事全体のバランスを優先してください。
【健康効果を正しく理解】白い筋を食べれば健康になれる?
白い筋には食物繊維や、柑橘類に含まれるヘスペリジンなどの成分が関係しています。しかし、「白い筋を食べると血管が若返る」「毎日食べれば病気を予防できる」といった断定的な受け止め方には注意が必要です。
成分の働きと食品としての効果は分けて考えるヘスペリジンは、柑橘類の機能性成分として研究されています。成分を使った研究や特定の条件下での試験結果は、食品としてのみかんを食べたときの効果と必ずしも一致しません。
みかんの白い筋にヘスペリジンが含まれていることと、白い筋を食べるだけで特定の病気を予防できることは別の話です。健康効果を過大に期待するよりも、果肉や薄皮を含むみかんを、普段の食生活の一部として取り入れる考え方が現実的です。
食物繊維はみかんだけで補うものではない食物繊維を意識するなら、みかんの白い筋だけに注目する必要はありません。野菜、豆類、きのこ類、海藻類、穀類など、さまざまな食品から摂取することが大切です。
白い筋を取るかどうかは、みかんを食べる際の小さな選択です。食べやすい方法で果実を楽しみ、食事全体の栄養バランスを整えることを優先しましょう。
【プロの結論】残すか取るかは、栄養と食べやすさのバランスで決めるみかんの白い部分をどうするか迷ったら、まずはそのまま食べてみて、食感が気になるかどうかで判断するのがおすすめです。問題なく食べられるなら残し、苦手なら取り除いても構いません。
白い筋や薄皮には食物繊維などが含まれますが、白い筋だけに特別な健康効果を期待する必要はありません。食べる部位を少し変えることよりも、みかんを無理なく楽しみ、日々の食事をバランスよく整えることのほうが大切です。
【みかんの白い部分】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:みかんの白い筋は取らずに食べても大丈夫ですか?
A1:はい。一般的にはそのまま食べられます。白い筋は果実の組織の一部で、薄皮とともに食物繊維などを含んでいます。食感が気にならなければ、無理に取り除く必要はありません。
Q2:みかんの白い筋を取ると栄養がなくなりますか?
A2:いいえ。白い筋や薄皮に含まれる成分の一部は摂取しにくくなりますが、果肉にもビタミンCやカリウムなどが含まれています。白い筋を取ったからといって、みかんの栄養がなくなるわけではありません。
Q3:みかんの白い筋は本当にアルベドと呼ばれるのですか?
A3:日常的には白い部分全般をアルベドと呼ぶことがありますが、厳密には果皮の内側にある白い海綿状の組織がアルベドです。房に付着する細い筋は、農林水産省が説明する維管束に当たります。
Q4:みかんの白い筋が苦いのは、傷んでいるからですか?
A4:少し苦いだけなら、必ずしも傷んでいるとは限りません。柑橘類には苦味に関係する成分が含まれています。ただし、カビや異臭、明らかな変色などがある場合は食べないでください。
Q5:みかんの白い筋を食べ過ぎると体に悪いですか?
A5:通常の食事量であれば、白い筋だけを理由に過度に心配する必要はありません。ただし、大量のみかんを一度に食べると、おなかの張りや不快感などが起きる場合があります。体調に合わせて適量を楽しみましょう。
みかんの白い部分には、果皮の内側にあるアルベドや、房に付着する維管束などがあります。薄皮を含む袋には食物繊維が含まれ、柑橘類の白い筋や袋などにはヘスペリジンも関係しています。
白い筋は基本的に食べられるため、栄養を無駄にしたくない人や、食感が気にならない人は残して食べるとよいでしょう。一方、苦味や繊維感が苦手な人は、ヘタ側から皮をむいたり、房ごとに目立つ筋を取ったりすれば、食べやすくなります。
大切なのは、白い筋を食べることを健康のための義務にしないことです。白い筋を残しても取っても、みかんを楽しむことはできます。自分や家族に合った食べ方を選び、果肉も薄皮も含めて、無理のない範囲で旬のみかんを味わいましょう。
記事内の主な根拠資料
農林水産省
「みかんの皮をむくと白い筋があるが、これは何ですか」「特集1 みかん(5)」「みかんの栄養の特徴について教えてください」
文部科学省・食品成分データベース
「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」温州みかんのじょうのう・砂じょうの食物繊維データ