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ブリ線虫は食べても大丈夫?体長・色・アニサキスとの違いと安全対策を徹底解説

倉木 俊樹 倉木 俊樹 • 更新: • 公開: • 読了約 17 分
目次

ブリの刺身や切り身を調理しているとき、身の中から赤い糸のような虫が出てきたら、驚いてしまう人も多いはずです。「ブリ線虫は食べても大丈夫なのか」「毒性はあるのか」「アニサキスと見分けられるのか」と、不安になるのも無理はありません。

農林水産省の公式Q&Aによると、ブリの筋肉に寄生するブリ糸状虫は、人に寄生することはなく、食べてしまっても人体に問題はないとされています。ただし、見た目だけで寄生虫の種類を断定することはできず、アニサキスなど、食中毒の原因となる寄生虫との区別が欠かせません。

【正体を解説】ブリ線虫とは?体長・色・身に現れる特徴

ブリ線虫

ブリ線虫は、一般にブリ糸状虫(しじょうちゅう)と呼ばれる寄生虫を指します。学名はPhilometroides seriolae。ブリやハマチなどの魚に寄生する線虫の一種で、魚の筋肉や体腔内に見つかることがあります。

農林水産省が公開している「ブリを調理するとミミズのようなものが出てきたが、食べても大丈夫ですか」というQ&Aでも、この寄生虫について説明されています。長い糸やミミズのような形状をしているため、魚をさばいたときや、加熱調理したときに気づくケースがあります。

体長は数センチから50センチ程度になることも

農林水産省の資料では、ブリ糸状虫は太さが約2〜3ミリで、小さいものは5センチ程度、大きいものでは50センチに達すると説明されています。細長い体が筋肉の中で丸まっていると、短い虫や赤い筋のように見える場合もあります。

また、京都市の食品衛生に関する資料でも、ブリ糸状虫は体液を吸って橙赤色を呈する寄生虫として紹介されています。魚の身の中に寄生してできた空洞に、黄白色の粘液がたまる場合もあり、虫体そのものだけでなく、周辺の身に変化が見られることもあります。

ブリ線虫の見分け方は「色・長さ・寄生場所」
  • 色:橙赤色から赤褐色に見えることが多い。


  • 長さ:数センチ程度から、長いものでは50センチほどになる。


  • 太さ:農林水産省の資料では約2〜3ミリとされる。


  • 寄生場所:魚の筋肉や体腔内に見つかり、身の中で丸まっていることもある。


  • 見つかる場面:魚をさばいたときや、切り身を加熱したときに発見されることがある。


ただし、これらはあくまで特徴を見分けるための目安です。色や大きさだけで寄生虫の種類を確定することはできません。赤い糸状のものだから必ずブリ糸状虫、白い糸状のものだから必ずアニサキス、と単純に決めつけないことが大切です。

【比較表】ブリ線虫とアニサキスの違いは?毒性と食中毒リスク

ブリの寄生虫について調べる際、特に注意したいのがブリ糸状虫とアニサキスの違いです。どちらも細長い形をしているため混同されがちですが、人への影響は大きく異なります。

農林水産省は、ブリの身に見つかるミミズ状の虫について、ブリ糸状虫の可能性がある一方、アニサキスの可能性もあると説明しています。判別が難しい場合には、見た目だけで安全性を判断しないようにしましょう。

比較項目 ブリ糸状虫 アニサキス
学名・分類 Philometroides seriolae(線虫) Anisakis属などの線虫
色 橙赤色〜赤褐色 白色〜半透明
大きさ 約5〜50cm。太さは約2〜3mmとされる 幼虫は一般に長さ2〜3cm、幅0.5〜1mm程度
見つかる場所 ブリの筋肉や体腔内 魚介類の内臓表面や筋肉など
人への寄生 農林水産省は人に寄生しないと説明 生きた幼虫を食べると、アニサキス症を発症することがある
主な健康上の懸念 通常、人体への健康被害は問題にならない。異物としての不快感や商品価値の低下がある 激しい腹痛、吐き気、嘔吐などを引き起こすことがある
基本的な対処 虫体を取り除き、種類が不明なら販売店に相談する 目視で除去し、適切な加熱または冷凍で予防する

ブリ線虫に毒性はある?

ブリ糸状虫については、一般的な意味での毒性や、人への寄生が問題となる寄生虫ではありません。農林水産省も、ブリ糸状虫は人に寄生しないため、食べてしまっても人体に問題はないと説明しています。

ただし、「人体への危害が問題にならない」ということと、「見つけた虫を無条件に食べてよい」ということは別です。虫の種類を誤認している可能性や、魚自体の鮮度・品質の問題も考えられます。正体がわからないものを無理に食べる必要はありません。

アニサキスはなぜ注意が必要なのか

アニサキスは、寄生した魚介類を生、または加熱・冷凍が不十分な状態で食べると、胃や腸の壁に侵入してアニサキス症を引き起こすことがあります。厚生労働省によると、胃アニサキス症では、食後数時間から十数時間ほどで激しいみぞおちの痛み、吐き気、嘔吐などが現れることがあります。

また、アニサキスは魚の鮮度が落ちると内臓から筋肉へ移動することがあるため、新鮮な魚を選ぶだけでリスクをゼロにすることはできません。生食する魚は、目視による確認や適切な冷凍処理なども重要です。

【人に寄生する?】ブリ線虫を食べても大丈夫なのか、刺身の安全性を検証

最も気になるのは、ブリ糸状虫を誤って食べてしまった場合に、人体へどのような影響があるのかという点でしょう。

農林水産省の公式見解では、ブリ糸状虫は人に寄生せず、食べてしまっても人体に問題はないとされています。そのため、ブリの筋肉に寄生していた虫がブリ糸状虫であると判断できる場合、虫そのものがアニサキスのような食中毒を引き起こす原因になるとは考えられていません。

ブリ糸状虫が見つかっても、鮮度不良とは限らない

ブリ糸状虫は、魚が生きている段階から寄生している生物です。したがって、切り身から虫が見つかったという事実だけで、販売店の保存状態が悪かった、鮮度管理に問題があったと断定することはできません。

一方、寄生した部分には空洞や変色が見られることがあり、食材としての見た目や品質を損なう場合があります。人体への危険性が低いことと、商品の品質に問題がないことは、分けて考える必要があります。

ブリ線虫が見つかった刺身は食べてよい?

ブリ糸状虫そのものは人に寄生しないとされていますが、刺身として食べる場合には、次の点を確認してください。

  • 虫の種類を確実に判断できるか。


  • 寄生虫以外に、異臭、著しい変色、ぬめりなどの異常がないか。


  • 生食用として適切に販売・管理された魚か。


  • 虫が複数見つかったり、身の損傷が目立ったりしていないか。


種類を判断できない場合は、生食を中止し、購入した店舗に確認するのが安全です。ブリ糸状虫とアニサキスではリスクが異なるため、単に「ブリに寄生する虫だから大丈夫」と判断するのは避けましょう。

また、ブリ糸状虫を誤って食べたことだけを理由に、直ちに健康被害が生じると考える必要はありません。ただし、食後に強い腹痛や嘔吐などの症状が現れた場合は、アニサキスなど別の原因も考えられるため、医療機関に相談してください。

【天然ブリに多い理由】寄生状況と鮮度管理の関係

ブリ糸状虫は、天然ブリをさばいたときに見つかることがあります。農林水産省の説明では、春先に寄生が多く見られるとされています。日本魚病学会の学術誌『魚病研究』に掲載された1970年の研究でも、ブリ糸状虫の成熟した雌がブリの筋肉や血合肉に寄生することが報告されています。

このように、天然魚に寄生虫が見つかること自体は、自然環境の中で生きる魚の生態と関係しています。寄生虫が見つかったという事実だけで、養殖・天然の優劣や、流通段階の衛生管理の良し悪しを決めることはできません。

天然ブリと養殖ブリでは何が違う?

天然ブリは自然の海域で餌をとりながら成長するため、さまざまな生物と接触する機会があります。一方、養殖ブリは飼育環境や餌が管理されており、寄生虫に接触する条件が天然魚とは異なります。

ただし、養殖だからあらゆる寄生虫のリスクがなくなるわけではありません。また、ブリ糸状虫について、全国の天然ブリにおける寄生率を一律に示す数値があるかのように、具体的な割合を断定するのも適切ではありません。個々の魚の寄生状況は、産地や個体などによって異なり得ます。

ブリ線虫と鮮度管理は別の問題

ブリ糸状虫が魚に寄生していることと、購入後の保存状態が悪いことは、同じ問題ではありません。虫が見つかったからといって、ただちに鮮度不良とは限らないのです。

ただし、アニサキス対策では鮮度管理が重要です。農林水産省や厚生労働省は、魚を丸ごと購入した場合、よく冷やして持ち帰り、速やかに内臓を取り除くことなどを推奨しています。アニサキスは魚の死亡後、時間の経過とともに内臓から筋肉へ移動することがあるためです。

なお、水産庁が公表するブリの資源評価は、主に水産資源の保存・管理に関するものです。資源量の調査と、ブリ糸状虫の寄生率を調べる調査は目的が異なるため、両者を混同しないことも大切です。

【発見したときの対処法】ブリ線虫の除去・加熱・冷凍の注意点

ブリの切り身から糸状の虫が見つかったときは、慌てて食べたり、すぐに廃棄したりする前に、種類と魚の状態を確認しましょう。ブリ糸状虫であれば人体への影響は通常問題になりませんが、アニサキスなどの可能性が残る場合は慎重な対応が必要です。

1.虫を見つけたら、まず食べるのを止める

虫が見つかった切り身は、いったん食べるのを止めてください。無理に生のまま取り除いて食べるのではなく、虫の色、長さ、寄生していた場所、身の状態を確認します。判別が難しければ、虫と魚の状態がわかる写真を撮り、購入した販売店に相談するとよいでしょう。

購入直後に見つかった場合は、商品や包装、購入時の情報を保管しておくと、販売店が状況を確認しやすくなります。異物の混入が気になる場合、返品や交換などの対応についても販売店に相談できます。

2.加熱する場合は、アニサキス対策の基準を参考にする

厚生労働省が示すアニサキス対策では、次の加熱条件が推奨されています。

  • 70℃以上で加熱する。


  • 60℃の場合は1分以上加熱する。


これらはアニサキス幼虫を死滅させるための基準です。ブリ糸状虫に対する専用の処理基準として示された数値ではない点には注意してください。虫の種類が不明な場合は、加熱だけで安全と判断せず、販売店などに確認することが大切です。

また、加熱して虫が死滅したとしても、虫体や寄生による身の損傷が消えるわけではありません。虫が見つかった部分は取り除き、身に異常がある場合は無理に食べないようにしましょう。

3.冷凍による駆除は、家庭用冷凍庫の性能に注意

アニサキスについては、厚生労働省がマイナス20℃で24時間以上の冷凍を有効な対策として示しています。ただし、この基準をブリ糸状虫の専用の駆除条件として、そのまま当てはめることはできません。

加えて、家庭用冷凍庫では、設定温度と魚の中心部の温度が一致するとは限りません。魚が十分に凍結するまでの時間も必要になるため、家庭での冷凍だけを頼りに、生食の安全性を判断するのは避けましょう。

4.酢・塩・醤油・わさびではアニサキス対策にならない

刺身や酢締めの調理では、酢や塩、醤油、わさびを使うことがあります。しかし、厚生労働省は、通常の調理で使う程度の酢、塩、醤油、わさびではアニサキス幼虫は死滅しないと説明しています。

味付けをしたから大丈夫、よく噛めば問題ない、と考えるのは危険です。生食する魚介類では、寄生虫の確認や適切な冷凍処理など、科学的に有効とされる対策を優先してください。

【プロの結論】ブリ線虫を見つけたときに迷わない判断基準

ブリ線虫への不安を減らすうえで、最も重要なのは「ブリ糸状虫そのものの危険性」と「寄生虫の種類が特定できていない状態」を分けて考えることです。

農林水産省が説明するブリ糸状虫は、人に寄生しないとされ、誤って食べても人体への問題はないとされています。一方、アニサキスは食中毒を引き起こす可能性があるため、両者を見分けられない状況では、安全側に判断する必要があります。

判断に迷ったときの3つの基準
  • ブリ糸状虫と判断できる場合:虫体を取り除き、魚の鮮度や身の状態を確認します。虫が見つかったことだけで、魚全体が危険だと決まるわけではありません。


  • 種類がわからない場合:生食は中止し、販売店に相談します。見た目だけで安全性を断定しないことが重要です。


  • 異臭や著しい変色がある場合:寄生虫の種類とは別に、魚自体の品質に問題がある可能性があるため、食べずに販売店へ確認します。


天然ブリを購入するときも、寄生虫の有無だけを品質の判断基準にする必要はありません。産地や販売形態、保存状態、身の色やにおいなどを総合的に確認することが、納得して魚を選ぶための基本です。

【ブリ線虫】に関するよくある質問(FAQ)

Q1:ブリ線虫を誤って食べてしまいました。病院に行く必要はありますか?
A1:農林水産省によると、ブリ糸状虫は人に寄生せず、食べても人体に問題はないとされています。ただし、虫の種類を特定できていない場合や、食後に激しい腹痛、吐き気、嘔吐などの症状がある場合は、アニサキスなど別の原因も考えられるため、医療機関に相談してください。

Q2:ブリ線虫は白色の場合もありますか?
A2:ブリ糸状虫の典型的な特徴は橙赤色です。ただし、見た目は状態や周囲の組織によって異なって見える可能性があり、色だけでは確実に判別できません。白色や半透明の細長い虫が見つかった場合も、アニサキスなどの可能性を考え、種類がわからなければ生食を避けてください。

Q3:ブリ線虫がいる魚は、鮮度が悪いということですか?
A3:必ずしもそうではありません。ブリ糸状虫は魚が生きている段階から寄生しているため、虫が見つかっただけで鮮度不良とは判断できません。ただし、異臭や著しい変色などがある場合は、別途、魚自体の品質を確認する必要があります。

Q4:ブリ線虫は加熱や冷凍で駆除できますか?
A4:虫を取り除くことが基本です。加熱や冷凍は寄生虫対策として有効ですが、厚生労働省が示す70℃以上、または60℃で1分以上という加熱条件や、マイナス20℃で24時間以上という冷凍条件は、アニサキス対策としての基準です。ブリ糸状虫に対する専用の処理条件と混同しないようにしましょう。

Q5:天然ブリと養殖ブリでは、どちらが安全ですか?
A5:天然ブリと養殖ブリでは、寄生虫に接触する環境が異なります。ただし、養殖だから寄生虫のリスクが完全になくなるわけではありません。天然・養殖の別だけでなく、魚の状態、保存方法、生食用としての適切な取り扱いを確認することが大切です。

ブリ線虫、すなわちブリ糸状虫は、橙赤色で細長い体を持ち、ブリの筋肉などに寄生する線虫です。農林水産省の公式Q&Aでは、人に寄生せず、食べてしまっても人体に問題はないと説明されています。

一方、ブリの身から見つかる糸状の虫が、すべてブリ糸状虫とは限りません。アニサキスなど、人に健康被害をもたらす可能性のある寄生虫との区別が必要です。色や大きさだけで判断できない場合は、無理に食べず、販売店に相談してください。

また、アニサキス対策では、目視による確認、適切な冷凍や加熱、鮮度管理が重要です。酢や塩、わさびなどで処理しても、アニサキスの予防にはなりません。

ブリに寄生虫が見つかったからといって、直ちに魚全体が危険だと決まるわけではありません。寄生虫の種類、魚の状態、調理方法をそれぞれ確認することが、安全にブリを楽しむための確かな判断基準です。

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トレンドリサーチャー 倉木 俊樹
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