U11型ブルーバードは、1983年10月に登場した日産ブルーバードの7代目モデルです。先代の910型がFR(後輪駆動)で大ヒットした一方、U11型はシリーズ初のFF(前輪駆動)を採用。駆動方式だけでなく、サスペンションや車内空間の設計、ブランド表記まで大きく変わりました。
現在、U11型ブルーバードを調べる人が気になるのは、なぜ日産が成功していた910型からFFへ転換したのか、ターボSSS-Xにはどのような魅力があったのか、そして2026年時点で中古車を入手できるのかという点でしょう。日産ヘリテージコレクションの保存車両資料や自動車専門メディアの解説を手掛かりに、誕生の経緯、エンジン仕様、歴代モデルとの違い、現在の評価を整理します。
【誕生の経緯】U11型ブルーバードはなぜ1983年に登場したのか

ブルーバードの歴史は、1959年に発売された初代モデルにさかのぼります。日産の小型乗用車の系譜を受け継ぎ、実用性と走行性能を両立する車種として発展してきました。1979年に登場した6代目の910型は、端正なスタイリングとスポーティーなイメージで人気を獲得。後輪駆動を採用したブルーバードの代表的なモデルとして知られています。
その後継として1983年10月に登場したのが、7代目に当たるU11型です。日産ヘリテージコレクションの解説によると、U11型では従来のFRからFFへ駆動方式が変更され、車両のメカニズムが大幅に刷新されました。
興味深いのは、見た目まで全面的に変える方向を選ばなかったことです。910型の人気を背景に、U11型は先代を思わせる直線的なボディラインを継承しました。外観上の連続性を保ちながら、車体の基本設計を変えるという、保守性と技術革新を組み合わせたモデルチェンジだったのです。
加えて、車名の表記にも変化がありました。910型までの正式名称は「ダットサン・ブルーバード」でしたが、U11型では「日産・ブルーバード」へ移行。日産ヘリテージコレクションは、ダットサンブランドからニッサンブランドへの移行を、U11型の時代を特徴づける出来事として紹介しています。
つまり、U11型の誕生は単なるフルモデルチェンジではありません。人気モデルの外観を引き継ぎつつ、FF化とブランド表記の変更を同時に進めた、ブルーバードの歴史における大きな転換点でした。
【技術解説】FF化の理由と910型との違い、サスペンションの変更
U11型を理解するうえで最も重要なのが、FRからFFへの転換です。FRはエンジンの動力を後輪に伝える方式で、910型のようなスポーティーなセダンとの相性に優れていました。一方、FFはエンジンと駆動輪を車体前方にまとめる構成で、限られた車体寸法の中で室内空間を確保しやすいという利点があります。
FF化の理由を考える際は、当時の自動車設計の流れも見逃せません。FFは、駆動系の配置を合理化し、床下のレイアウトや車内空間を効率よく設計するうえで有利な方式です。日産はU11型でこの方式を採用し、先代のイメージを保ちながらパッケージングを見直しました。
ただし、FFには前輪が駆動と操舵を兼ねるため、加速時にステアリングへ影響が出るトルクステアなどの課題があります。日産ヘリテージコレクションの「ブルーバード マキシマ」の解説では、U11型は先代910型よりトレッド幅を80~100mm拡大し、こうした操縦安定性上の弱点への対策を図ったと説明されています。
サスペンション形式も変更されました。日産ヘリテージコレクションに掲載されている1983年式の50周年特別記念車では、前後ともストラット式です。なお、U11型には複数の車種・グレードが存在し、上級のマキシマでは後輪側にパラレルリンクを組み合わせたストラット式を採用する仕様もあります。すべてのU11型を同一の足回りと考えないことが大切です。
910型との主な違いを整理すると、次のようになります。
| 比較項目 | 910型(6代目) | U11型(7代目) |
|---|---|---|
| 登場時期 | 1979年 | 1983年10月 |
| 駆動方式 | FR(後輪駆動) | FF(前輪駆動) |
| 正式車名 | ダットサン・ブルーバード | 日産・ブルーバード |
| ボディ構成 | セダン、4ドアハードトップ、2ドアハードトップなど | セダン、4ドアハードトップ、ワゴンなど |
| サスペンション | FR車としての足回り構成 | FF化に伴って刷新。記念車の諸元は前後ストラット |
| 設計上の特徴 | 後輪駆動ならではの走行特性と人気のスタイリング | FF化による空間効率の改善と操縦安定性への配慮 |
この比較で押さえたいのは、U11型が910型の単なる外観変更版ではないことです。見た目には似た部分があるものの、駆動方式を含めた基本構造は別物でした。910型のFRらしい走行感覚を評価する人と、U11型の技術的な転換に魅力を感じる人では、同じブルーバードでも選ぶ理由が異なります。
【エンジン仕様】ターボSSS-Xと4ドアハードトップの魅力
U11型のエンジン構成は、幅広い用途を意識したものでした。日産ヘリテージコレクションの資料では、ガソリンエンジンとして1.6LのCA16型、1.8LのCA18型、2.0LのCA20型が紹介され、1.8Lターボや2.0LディーゼルのLD20型も設定されていました。自然吸気エンジンだけでなく、スポーティーな走りを求めるユーザー向けの選択肢も用意されていたのです。
なかでも注目されるのが、1983年式の「ブルーバード 4ドアハードトップ ターボSSS-X 50周年特別記念車」です。日産自動車の創立50周年を記念して1983年12月に設定された500台限定のモデルで、専用色や記念バッジなどを備えていました。通常のグレードとは異なる記念性を持つことから、U11型の中でも特別な存在です。
日産ヘリテージコレクションに掲載されている同車の主要諸元は次のとおりです。
- エンジン:CA18ET型・直列4気筒OHCターボ
- 排気量:1,809cc
- 最高出力:135PS/6,000rpm
- 最大トルク:20.0kgm/3,600rpm
- 全長×全幅×全高:4,500×1,690×1,370mm
- ホイールベース:2,550mm
- 車両重量:1,165kg
- サスペンション:前後ストラット式
この最高出力は当時の公表値です。現代の車両カタログにおける出力値と比較するときは、測定基準の違いを考慮する必要があります。
また、U11型には電子制御技術も取り入れられていました。日産の資料では、パワーステアリングのアシスト力を3段階で切り替えられる「電子制御3ウェイパワーステアリング」や、運転時間・操舵パターンなどから疲労を推定し、休憩を促す「セーフティドライブアドバイザー」が紹介されています。
このように、U11型は単にFF化しただけのモデルではありません。スポーティーなターボ仕様、上級モデル、実用性を重視したエンジンに加え、運転支援につながる電子制御技術まで採用していました。1980年代の日産が、走行性能と快適性の両立を目指していたことがうかがえます。
【見分け方】U11型とブルーバード歴代モデルの関係
U11型を探すときに混同しやすいのが、先代の910型と後継のU12型です。いずれも角張ったデザインを特徴とするため、写真だけでは判別しにくい場合があります。年式や外観だけで判断せず、車台番号や型式、車検証などの情報を確認することが確実です。
U11型の特徴は、910型の直線的なスタイルを継承しながらFF化された点にあります。ボディタイプは4ドアセダン、4ドアハードトップ、ワゴンなど。910型にあった2ドアハードトップはU11型では設定されず、ボディ構成にも違いが見られます。
1987年に登場した後継のU12型は、U11型や910型の印象を残しながら、より丸みを帯びたスタイリングへ移行しました。U12型ではフルタイム4WDシステム「アテーサ」を搭載するモデルも登場しています。こうした違いを知っておくと、写真や中古車情報に記載された型式を読み解きやすくなります。
歴代ブルーバードの流れを簡潔に整理すると、次のようになります。
- 310系(1959年~):初代ブルーバード。ダットサンの小型乗用車の系譜を受け継ぐ。
- 510型(1967年~):スポーティーな走りで知られる世代。
- 910型(1979年~):U11型の先代。FRを採用し、高い人気を得た。
- U11型(1983年~):ブルーバード初のFFを採用した7代目。
- U12型(1987年~):後継モデル。4WD技術などを発展させた。
- U13型(1991年~)、U14型(1996年~):その後も時代に合わせてモデルチェンジを重ねた。
日産の歴代車資料では、ブルーバードの系譜は2000年代のブルーバードシルフィへとつながっています。ただし、世代ごとにボディ構成や販売期間が異なり、ワゴンやバンなどの派生車種はセダンとは異なる時期まで販売されました。中古車を探す際には、車名だけでなく型式とボディタイプを合わせて確認が必要です。
【2026年の評価】U11型ブルーバードの評判と中古車相場
2026年時点のU11型ブルーバードは、日常の足として大量に流通する一般的な中古車というより、1980年代の日産車を好む人が注目する旧車です。910型の知名度が高いこともあり、U11型はブルーバードの歴史を語るうえで重要でありながら、比較的見落とされやすい世代でもあります。
評価の要点は、大きく三つあります。第一に、FRからFFへ移行した技術的な節目であること。第二に、910型を思わせる角張ったデザインを残していること。第三に、ターボSSS-Xや50周年特別記念車など、グレードによって異なる個性を持つことです。
一方、旧車として所有するなら、年式相応の整備負担を考える必要があります。エンジンやトランスミッションの状態に加え、冷却系、電装系、エアコン、足回り、ゴム部品の劣化、ボディの腐食などを確認したいところです。純正部品の入手性や修理を依頼できる整備工場の有無も、維持費に影響します。
中古車相場については、掲載台数が少ないため、一般的な量販車のように平均価格だけで価値を判断するのは困難です。中古車情報サイトのグーネットで「U11」を検索した掲載例には、1983年式の1.8 SSS-E、5速MT、走行距離8万kmの車両が、車両本体価格148万円、支払総額168万円で紹介されていました。ただし、これは個別車両の掲載例であり、2026年10月時点の確定した平均相場や、すべてのU11型に適用できる価格ではありません。
実際の価格は、グレード、オリジナル状態、修復歴、整備記録、走行距離、腐食の程度、ターボ車かどうかなどによって大きく変わります。特に限定車や希少な仕様では、単純な年式・走行距離だけの比較が難しくなります。
購入を検討するなら、掲載価格だけで即決せず、現車確認と整備履歴の確認を優先しましょう。エンジンが始動することと、長距離を安心して走れる状態にあることは別問題です。購入費用に加えて、納車前整備や故障修理に充てる予算も考えておく必要があります。
【プロの結論】U11型ブルーバードの価値をどう見るべきか
U11型ブルーバードの本質的な魅力は、人気を得ていた910型の後継という立場にありながら、駆動方式を大きく変えた点にあります。外観の連続性と技術面の刷新を同時に実現しようとした、日産の転換期を象徴するモデルです。
FF化は、単なる時代の流行を追った変更ではありません。限られた車体寸法の中で室内空間を確保し、操縦安定性にも配慮しながら、幅広いユーザーに対応するための設計上の選択でした。サスペンションの変更やトレッド幅の拡大も、その転換を支える要素です。
購入候補として考える場合、U11型は次のような人に向いています。
- 1980年代の日産車や、角張ったボディデザインが好きな人
- 910型とU11型の設計思想の違いを実車で楽しみたい人
- ターボSSS-Xなど、特定のグレードや装備を探している人
- 旧車の点検・整備に理解があり、維持費も含めて計画できる人
反対に、故障の少なさや部品の入手しやすさ、日常的な低コスト運用を最優先する人には、慎重な検討が必要です。40年以上前の車両では、購入価格が予算内でも、整備費用や部品調達に想定以上の時間と費用がかかる可能性があります。
希少性だけで価値を判断せず、現存車のコンディション、オリジナル度、整備記録、仕様の正確性を総合的に評価すること。それがU11型ブルーバードを選ぶ際の基本です。
【U11型ブルーバード】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:U11型ブルーバードは何年に登場しましたか?
A1:1983年10月に登場した7代目ブルーバードです。先代910型からフルモデルチェンジし、ブルーバード史上初のFFを採用しました。
Q2:U11型ブルーバードと910型の最大の違いは何ですか?
A2:最大の違いは駆動方式です。910型はFR、U11型はFFを採用しています。U11型ではサスペンションも変更され、FF化に伴う操縦安定性や室内空間の改善が図られました。
Q3:U11型ブルーバードの中古車相場はいくらですか?
A3:流通台数が限られ、グレードや車両状態による価格差が大きいため、一律の相場を示すのは困難です。掲載例では1983年式の1.8 SSS-Eが車両本体価格148万円、支払総額168万円で紹介されていましたが、現在の平均価格を示す数字ではありません。最新の在庫と整備状態を個別に確認してください。
U11型ブルーバードは、1983年10月に登場した日産の7代目モデルです。910型のスタイリングを受け継ぎながら、FRからFFへ駆動方式を転換し、サスペンションや車内空間の設計も見直しました。ダットサンからニッサンへのブランド移行を象徴する存在でもあります。
ターボSSS-Xや500台限定の50周年特別記念車など、グレードごとの個性も見逃せません。2026年の中古車市場では、流通量の少なさから価格だけで単純比較することが難しく、車両の保存状態や整備履歴が重要な判断材料になります。
U11型を知ることは、ブルーバードの歴史だけでなく、日本車がFR中心の設計からFFを積極的に採用する時代へ移っていった過程を知ることにもつながります。購入する場合も、歴史的な価値を楽しむ場合も、型式・グレード・仕様を正しく見極めることが、U11型ブルーバードの魅力を理解する第一歩です。