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外国人に生活保護を出す国はどこ?日本と海外6カ国の条件・制度を2026年最新比較

倉木 俊樹 倉木 俊樹 • 更新: • 公開: • 読了約 20 分
目次

外国人に生活保護を出す国は、日本だけなのか。それとも、欧米をはじめとする多くの国でも、外国人が生活に困窮した場合に公的扶助を受けられるのか。2026年現在、この問題を正しく理解するには、制度の有無だけでなく、在留資格、居住年数、所得・資産の審査、給付を受ける法的権利まで比較する必要がある。

日本では、生活保護法第1条が保護の対象を「国民」と定めている。一方、厚生労働省は1954年の通知に基づき、一定の外国人に対して生活保護に準じた行政措置を行っている。英国、米国、カナダ、ドイツ、フランスにも外国人が利用できる公的扶助制度はあるが、誰でも入国直後から受給できるわけではない。各国の制度と最新の公表データから、その実態を整理する。

【結論】外国人に生活保護を出す国は?日本だけではない

外国人に生活保護を出す国

結論からいえば、外国人が公的扶助を受けられる国は日本だけではない。英国のUniversal Credit、米国の低所得者向け給付、カナダの州・準州の社会扶助、ドイツの社会扶助、フランスのRSA(積極的連帯所得手当)など、外国人の生活を支える制度が存在する。

ただし、これらはすべて日本の生活保護と同じ制度ではない。日本の生活保護は、資産や収入などを確認したうえで、最低生活費に足りない部分を補う仕組みだ。一方、海外では、失業者向けの給付、低所得者向けの所得保障、難民申請者向けの生活支援など、目的や対象者を分けて制度を設計している国も多い。

比較する際に確認すべきなのは、主に次の5点である。

  • 外国人が制度の対象になり得るか。
  • 永住資格や就労可能な在留資格が必要か。
  • 一定年数の居住や待機期間が求められるか。
  • 収入、預貯金、資産、世帯構成などの審査があるか。
  • 給付を法律上の権利として請求できるか、それとも行政上の措置や個別の支援にとどまるか。

「外国人にも生活保護を出す国」という一つの分類だけでは、制度の厳しさや受給条件は分からない。外国人への給付を認めている国でも、短期滞在者や就労目的の一時滞在者には公的扶助を制限する場合がある。逆に、永住者や難民認定者などには、一定の条件のもとで自国民に近い支援を認める国もある。

【日本の制度】生活保護法第1条と外国人への行政措置の準用

日本の制度を理解するうえで、まず押さえたいのが生活保護法第1条と、1954年5月8日付の厚生省社会局長通知「生活に困窮する外国人に対する生活保護の措置について」の関係だ。

生活保護法第1条は、国が生活に困窮する「国民」に対して必要な保護を行うことを目的としている。第2条も、法の定める要件を満たす国民が無差別平等に保護を受けられる旨を定めている。外国人は、現行法の適用対象には含まれないと解釈されている。

しかし、外国人への支援が一律に禁止されているわけではない。厚生労働省の1954年通知は、外国人を生活保護法そのものの適用対象とはしない一方、生活に困窮する外国人に対し、日本国民に対する保護の決定・実施の取扱いに準じて、必要と認められる保護を行うよう定めている。

この仕組みが、一般に「行政措置による準用」と説明されるものだ。厳密には、外国人に生活保護法がそのまま適用されるという意味ではない。法律の適用と、行政通知に基づく保護の実施は区別しなければならない。

永住者なら誰でも受給できるのか

外国人への保護の対象となるのは、主に永住者、特別永住者、日本人の配偶者等、永住者の配偶者等、定住者など、入管法上の身分・地位に基づく在留資格を持つ人である。実際の取扱いは、在留資格や個別の状況を踏まえて判断される。

ここで注意したいのは、永住者であれば自動的に生活保護を受けられるわけではないという点だ。日本人と同様、生活に困窮しているか、利用できる資産や収入があるか、働く能力を活用できるか、扶養やほかの給付を利用できるかなど、生活保護に準じた審査が行われる。

また、短期滞在や留学などの在留資格を持つ人が、外国人であるという理由だけで同じ取扱いを受けられるわけではない。対象となる在留資格と、生活困窮の実態は分けて考える必要がある。

2014年の最高裁判決で何が決まったのか

2014年7月18日の最高裁判決は、外国人が生活保護法に基づく法的な受給権を持つかどうかを判断した重要な判例だ。最高裁は、同法の適用対象に外国人は含まれないと判断した。

一方、この判決は、1954年通知に基づいて一定の外国人に保護を行う行政措置そのものを否定したものではない。国会での政府答弁でも、法律の適用対象外であることと、通知に基づく行政措置として保護を行っていることは区別して説明されている。

したがって、日本の制度は「外国人には一切支援がない」でも「外国人は日本人と全く同じ法的権利で受給できる」でもない。行政措置として保護が行われる一方、法律上の受給権や不服申立ての取扱いには違いがある。この法的な位置づけこそ、日本の制度を理解するうえでの核心だ。

【主要6カ国比較】外国人の生活保護・公的扶助はどう違う?

日本と海外の制度を比べると、外国人への支援を認めるか否かだけでなく、どの段階で給付対象になるかが大きく異なる。以下は、日本、英国、米国、カナダ、ドイツ、フランスの6カ国について、代表的な制度と主な条件を整理したものだ。

国 主な制度 外国人の主な受給条件・制限 制度上の特徴
日本 生活保護に準じた行政措置 主に永住者、特別永住者、定住者、日本人の配偶者等など。生活困窮や資産・収入の審査がある。 外国人は生活保護法の適用対象外だが、一定の外国人には通知に基づく保護が行われる。
英国 Universal Credit 公的扶助を利用できる在留資格、英国での居住実態、所得・資産などの条件を満たす必要がある。 NRPF(公的扶助へのアクセス制限)が付された在留資格では、多くの給付を利用できない。
米国 SNAP、SSI、TANFなど 給付ごとに対象となる移民資格が異なる。一定の適格外国人には連邦の資力調査付き給付に5年間の待機制限がある。 連邦制度と州・地方制度で条件が異なり、難民・庇護認定者などには例外がある。
カナダ 州・準州のSocial Assistance 永住者や対象となる難民申請者などが、各州・準州の所得、資産、居住実態などの条件に応じて利用できる。 社会扶助は主に州・準州が運営するため、給付内容や申請手続きが地域によって異なる。
ドイツ Sozialhilfe、求職者向け基礎保障、Asylbewerberleistungsgesetzによる給付 難民申請中か、保護認定後か、通常の在留資格かによって適用される制度が変わる。 難民申請者向けの給付と、認定後に利用する一般の社会保障制度が区別されている。
フランス RSA(積極的連帯所得手当) EU域外の外国人は、原則として就労を認める在留許可を5年以上保有する条件がある。難民などには例外がある。 一定の居住・在留条件を設け、所得に応じた最低所得保障と社会・職業への参加を組み合わせている。

この比較から分かるのは、外国人への公的扶助を認める国でも、無条件に給付しているわけではないということだ。永住資格や一定期間の居住を求める国がある一方、難民や保護認定者については、別の法制度を通じて生活を支える国もある。

また、比較表は各国の代表的な制度をまとめたものであり、外国人が利用できるすべての社会保障を網羅したものではない。医療、住宅、家族手当、失業保険、緊急支援などは別制度であり、生活費の現金給付と同じ条件が適用されるとは限らない。

【英国の所得補助】Income Supportは現行制度?2026年の仕組み

英国の公的扶助を調べると、「所得補助(Income Support)」という制度名が紹介されることがある。しかし、2026年時点の低所得者向け給付を説明するうえでは、旧制度と現行制度を区別しなければならない。

Income Supportは、かつて一定の低所得者を対象としていた制度だが、新規申請を受け付ける制度ではなくなっている。現在、就労年齢にある低所得者などを支える中心的な給付の一つが、Universal Credit(ユニバーサル・クレジット)だ。

Universal Creditの主な受給条件

英国政府の公式案内によると、Universal Creditは、低所得で生活費の支援を必要とする人を対象としており、失業中の人だけでなく、就労中の人や健康上の事情で働けない人も対象になり得る。

基本的な条件には、英国に居住していること、原則として18歳以上で公的年金受給年齢に達していないこと、預貯金や投資などの資産が合計16,000ポンド以下であることなどが含まれる。実際の受給可否や給付額は、世帯の所得や状況によって異なる。

外国人の場合、これらの条件に加えて在留資格が重要になる。英国では、在留許可に「No Recourse to Public Funds(NRPF)」という条件が付されることがあり、該当者は多くの公的給付や住宅支援を利用できない。

英国政府の移民関連ガイダンスでは、公的扶助の利用資格は国籍だけで決まるのではなく、在留資格と給付制度ごとの条件によって判断される。永住に相当する無期限滞在許可などを得た人は、ほかの条件を満たせば公的給付を利用できる場合があるが、居住実態などの審査が必要になる制度もある。

ここで重要なのは、「英国は外国人に所得補助を出している」という説明だけでは、実際の制度を正確に表せない点だ。現行のUniversal Creditと旧Income Supportを混同せず、NRPFの有無や居住条件まで確認する必要がある。

【2026年最新データ】外国人の生活保護受給は増えているのか

外国人の生活保護をめぐっては、受給者が急増しているのではないか、外国人が受給世帯の大きな割合を占めているのではないか、といった疑問が生じやすい。こうした論点を検証するには、印象や個別事例ではなく、厚生労働省の公式統計を見る必要がある。

厚生労働省が公表している2024年度の被保護者調査(月平均)では、世帯主が日本国籍を有しない生活保護受給世帯は4万7,332世帯、そこに属する被保護人員は6万4,993人だった。同年度の生活保護受給世帯全体は165万674世帯であり、外国籍の世帯主がいる世帯の割合は約2.9%となる。人員ベースでは約3.2%だ。

これらの数字は、「生活保護受給世帯の3分の1は外国人」という見方とは大きく異なる。ただし、統計上の注意点もある。厚生労働省は、外国人だけを切り出した受給者数を把握していないと説明している。公表値は世帯主の国籍に基づく集計であり、世帯内の全員が外国籍であることを意味しない。

また、同省によると、世帯主が日本国籍を有しない世帯に属する被保護人員数は、2012年度の7万4,736人から2024年度の6万4,993人に減少している。少なくとも、この比較可能な指標からは、外国籍の世帯主がいる世帯の被保護人員が一貫して増え続けているとは読み取れない。

「中国人の生活保護受給者が5年で2倍」は本当か

国籍別の数字についても、厚生労働省の公表資料は、単純な増加説とは異なるデータを示している。同省によると、世帯主が中国籍の被保護世帯に属する人員数は、2018年度の9,059人に対し、2023年度は9,471人だった。増加は約400人であり、5年間で2倍になったという事実は確認できない。

ただし、この数字も外国籍の受給者だけを直接数えたものではない。世帯主の国籍に基づく指標であるため、数値の意味を正しく理解する必要がある。国籍別の統計を使う場合は、対象が個人なのか、世帯なのか、世帯内の人員なのかを確認することが欠かせない。

受給世帯の割合や国籍別の増減を論じる際には、分母となる全受給世帯数、集計期間、世帯主と世帯員の区別をそろえる必要がある。異なる統計を混ぜて比較すると、実態以上に多く見えたり、増加率を誤って解釈したりするおそれがある。

【受給条件の実務】在留資格・居住年数・資産審査のポイント

外国人が日本で生活保護に準じた保護を受けられるかどうかは、在留資格だけで決まるわけではない。生活困窮の程度や世帯の状況など、複数の条件を確認する必要がある。

1.在留資格と居住年数

日本の制度では、一定の在留資格を持つことが重要な前提となる。永住者や特別永住者、定住者などが代表例だ。外国人への行政措置について、すべての人に共通する「日本に5年以上住めば対象になる」という一律の条件が定められているわけではない。

この点は、フランスなどの制度との違いでもある。フランスのRSAでは、EU域外の外国人について、原則として就労を認める在留許可を5年以上保有する条件が設けられている。難民認定者や無国籍者などには例外があるため、単純な滞在年数だけで判断することもできない。

2.収入・預貯金・資産の確認

日本の生活保護に準じた保護では、本人や世帯の収入、利用できる資産、働く能力、年金などのほかの給付、扶養の可能性といった事情が確認される。外国人だけに審査が免除される仕組みではなく、生活保護に準じた要件に沿って判断される。

英国のUniversal Creditでも、預貯金や投資などの資産上限が設けられている。米国ではSNAPやSSIなど、制度ごとに所得・資産要件や移民資格の条件が異なる。カナダでも、州・準州の社会扶助制度によって所得や資産の審査が行われる。

3.難民申請者と一般の外国人は同じではない

難民申請者や保護認定者は、一般の就労目的の在留資格を持つ人とは異なる制度の対象になる場合がある。ドイツでは、庇護申請中の人などを対象とするAsylbewerberleistungsgesetz(庇護申請者給付法)に基づく支援がある。保護が認定された人は、条件を満たせば一般の求職者向け基礎保障や社会扶助に移行する。

カナダでも、難民申請が適格と認められ、審査結果を待っている人は、州・準州の制度に基づく社会扶助などを利用できる場合がある。ただし、申請が却下され、退去手続きの対象となった人の取扱いは地域や状況によって異なる。

このように、難民保護と一般の低所得者向け給付を一緒に扱うと、制度の違いを見誤る。支援の対象者がどの法的な立場にあるのかを確認することが、国際比較の出発点となる。

4.法的な受給権と行政措置の違い

日本で特に重要なのが、外国人への保護が行政措置として実施されているという点だ。日本国民の生活保護は、法律の要件を満たす場合に法律上の権利として保障されている。外国人への行政措置は、同じように保護が行われる場合があっても、生活保護法に基づく受給権そのものが認められているわけではない。

海外でも、給付資格は法律や制度によって定められており、在留資格による制限や申請手続きが存在する。制度を比較する際は、実際に現金給付が行われるかだけでなく、どの法律に基づき、どの条件で申請できるかを確認する必要がある。

【外国人に生活保護を出す国】に関するよくある質問(FAQ)

Q1:外国人に生活保護を出す国は日本だけですか?
A1:日本だけではありません。英国、米国、カナダ、ドイツ、フランスなどにも、一定の外国人が利用できる公的扶助制度があります。ただし、在留資格、所得・資産、居住条件、難民としての法的地位などによって受給可否が異なります。

Q2:日本では外国人も生活保護法に基づいて受給できるのですか?
A2:外国人は生活保護法の適用対象ではありません。一方、1954年の厚生省通知に基づき、一定の外国人には生活保護に準じた行政措置として保護が行われます。法律上の受給権と行政措置による保護は区別されます。

Q3:永住者なら必ず生活保護を受けられますか?
A3:いいえ。永住者などは行政措置の対象となり得ますが、生活困窮の程度や収入、資産、就労能力、ほかの給付などを確認する必要があります。在留資格だけで受給が自動的に決まるわけではありません。

Q4:外国人の生活保護受給者は増え続けていますか?
A4:厚生労働省の公表資料では、世帯主が日本国籍を有しない世帯に属する被保護人員数は、2012年度の7万4,736人から2024年度の6万4,993人に減少しています。ただし、この統計は外国籍の受給者だけを直接集計した数字ではありません。

Q5:英国では外国人も所得補助を受けられますか?
A5:一定の条件を満たせば受給できる場合があります。現行の主な低所得者向け給付の一つはUniversal Creditで、在留資格が公的扶助へのアクセスを認めていることや、居住実態、所得・資産などの条件が関係します。NRPFが付された在留資格では、多くの給付が制限されます。

Q6:外国人向けの公的扶助には、すべての国で居住年数の条件がありますか?
A6:一律ではありません。フランスのRSAには一定の在留許可を5年以上保有する条件がありますが、難民などの例外もあります。英国では制度によって居住実態や在留資格が問われ、米国では特定の連邦給付に5年間の待機制限が設けられています。国名だけでなく、給付制度と在留資格をセットで確認することが必要です。

【プロの結論】外国人の生活保護を比較するときの判断基準

外国人に生活保護を出す国を比較すると、各国とも、外国人を一律に対象外とするのではなく、在留資格、居住の安定性、所得・資産、難民としての保護の必要性などを組み合わせて制度を設計していることが分かる。

日本の特徴は、生活保護法の対象を国民としながら、1954年の通知に基づいて一定の外国人に保護を行っている点にある。外国人は法律上の受給権を持つわけではないが、行政措置による支援が存在する。この二つを混同しないことが、制度を正しく理解する第一歩だ。

また、2026年の議論では、外国人への給付があるかどうかだけでなく、実際に何世帯が対象となっているのか、どのような条件で保護が行われるのか、統計が何を数えているのかを確認したい。厚生労働省の2024年度データでは、外国籍の世帯主がいる生活保護受給世帯は全体の約2.9%であり、世帯主の国籍に基づく数字を外国人受給者全体の人数と読み替えることはできない。

制度を評価する際の判断基準は、次の3点に集約できる。

  • 法的根拠:法律上の受給権なのか、行政措置や特別な支援制度なのか。
  • 受給条件:在留資格、居住年数、所得・資産、就労状況、難民としての法的地位など、何が要件となるのか。
  • 統計の読み方:受給者本人の国籍なのか、世帯主の国籍なのか、どの期間・分母で比較しているのか。

「外国人に生活保護を出す国はどこか」という疑問に対する答えは、単純な国別ランキングではない。各国の制度が、どのような条件で誰を支えるのかを比較することが、生活保護をめぐる誤解を減らし、日本の制度の特徴を理解するための確かな判断基準となる。

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トレンドリサーチャー 倉木 俊樹
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