宮崎駿監督の『千と千尋の神隠し』は、2001年7月20日の公開から25年を迎えた2026年現在も、日本映画の歴代興行収入ランキングでトップクラスに位置する作品です。国内累計興行収入は316億8,000万円。興行通信社が公表する「歴代興収ベスト100」では、2026年10月25日現在、総合3位にランクインしています。
しかし、公開当初の興行収入は308億円でした。なぜ316.8億円に増えたのでしょうか。また、『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』の407.5億円や『鬼滅の刃 無限城編 第一章 猗窩座再来』の403.6億円とは、どれほど差があるのでしょうか。2020年の再上映、歴代順位の変遷、海外でも評価された作品の魅力を、最新のランキングと公表記録から整理します。
【2026年最新】千と千尋の神隠しは316.8億円で歴代3位!

2026年10月25日現在、興行通信社の「歴代興収ベスト100」によると、『千と千尋の神隠し』の国内興行収入は316.8億円で、歴代3位です。2001年の公開から四半世紀が経過しても、国内映画市場を代表する記録の一つとして残っています。
上位には、社会現象となった『鬼滅の刃』シリーズの劇場版2作品が並びます。一方、長年のライバルとして比較されてきた『タイタニック』や、新海誠監督の『君の名は。』も、現在のランキングでは『千と千尋の神隠し』を下回っています。
| 歴代順位 | 作品名 | 国内興行収入 | 公開日 |
|---|---|---|---|
| 1位 | 劇場版「鬼滅の刃」無限列車編 | 407.5億円 | 2020年10月16日 |
| 2位 | 劇場版「鬼滅の刃」無限城編 第一章 猗窩座再来 | 403.6億円 | 2025年7月18日 |
| 3位 | 千と千尋の神隠し | 316.8億円 | 2001年7月20日 |
| 4位 | タイタニック | 277.7億円 | 1997年12月20日 |
| 5位 | アナと雪の女王 | 255.0億円 | 2014年3月14日 |
| 6位 | 君の名は。 | 251.7億円 | 2016年8月26日 |
出典:興行通信社「歴代興収ベスト100」(2026年10月25日現在)。金額は国内興行収入で、全世界興行収入とは異なります。
数字を比較すると、『千と千尋の神隠し』は4位の『タイタニック』を39.1億円上回り、『君の名は。』には65.1億円の差をつけています。1位の『無限列車編』との差は90.7億円です。
ここで押さえたいのは、ランキングが作品の評価をそのまま順位にしたものではないという点です。興行収入は観客が映画館で支払った料金などを基礎とする興行成績であり、作品の芸術性、満足度、海外での人気を単独で測る指標ではありません。
【数字が変わった理由】2001年公開から2020年再上映までの経緯
『千と千尋の神隠し』の興行収入が316.8億円になった理由は、公開当初の数字が誤っていたからではありません。2020年に実施された再上映の興行収入が、従来の累計に加算されたためです。
東宝の沿革によると、本作は2001年7月に公開され、当時の国内興行収入新記録となる308億円を達成しました。その後、2020年の再上映によって累計金額が更新されました。
- 2001年7月20日:全国公開。国内興行収入308億円を記録し、歴代トップに立つ。
- 2020年6月〜8月:「一生に一度は、映画館でジブリを。」と題した企画で再上映を実施。
- 2020年12月15日:東宝が再上映分の8.8億円を加算し、累計興行収入を316.8億円に改定したと発表。
- 2020年12月26〜27日:『鬼滅の刃 無限列車編』が累計316.8億円を突破し、国内歴代1位を更新。
- 2025〜2026年:『鬼滅の刃 無限城編 第一章』が歴代2位に浮上。『千と千尋の神隠し』は3位となる。
2020年の再上映は全国372館で行われ、8.8億円の興行収入を記録しました。東宝の発表を伝えた映画.comやCINEMAランキング通信などの報道でも、この加算が316.8億円への改定理由として説明されています。
つまり、308億円と316.8億円は、互いに矛盾する数字ではありません。前者は再上映分の加算前、後者は加算後の累計です。過去のニュースや記事で異なる金額を見かけた場合は、集計時点と再上映分の扱いを確認する必要があります。
【記録更新の真相】鬼滅の刃との順位比較と現在の差
『千と千尋の神隠し』が長く守っていた国内歴代1位の座を奪ったのは、『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』でした。2020年10月16日に公開された同作は、短期間で興行収入を積み上げ、同年12月27日までに累計324億7,889万5,850円に到達。316.8億円を超え、歴代1位を更新しました。
公開からわずか73日間での記録更新です。東宝などが配給する作品としても大きな節目となり、2001年から続いた『千と千尋の神隠し』の首位記録は約19年で終わりました。
さらに2025年7月公開の『劇場版「鬼滅の刃」無限城編 第一章 猗窩座再来』も記録的な成績を収めました。興行通信社の2026年10月25日現在のランキングでは403.6億円で歴代2位です。『千と千尋の神隠し』との差は86.8億円となっています。
なお、同作については、2026年4月に一部劇場を除いて終映した際、興行収入402億円とする報道もありました。その後のランキング掲載額は403.6億円です。集計の時点が異なる数字を比較する場合は、終映時の報道値と、その後に更新されたランキング値を区別して読むことが大切です。
ここで注意したいのは、2020年の316.8億円への改定と、『鬼滅の刃』による首位更新は別の出来事だという点です。前者は再上映分の追加による累計額の変更、後者は別作品が実際にその金額を超えたことによる順位の変動です。「記録が修正されたから順位が下がった」という説明では、経緯を正しく理解できません。
【タイタニック・君の名は。と比較】千と千尋の強さはどこにある?
『千と千尋の神隠し』と『タイタニック』は、ともに国内興行収入が非常に高い作品ですが、作品の性格や観客に届く経路は異なります。『タイタニック』は実在の海難事故を背景にした恋愛ドラマであり、『千と千尋の神隠し』は異世界に迷い込んだ少女の成長を描くファンタジーです。
2026年の国内ランキングでは、『タイタニック』が277.7億円、『千と千尋の神隠し』が316.8億円。『千と千尋の神隠し』は約39億円上回っています。ただし、この差だけで世界的な知名度や作品としての優劣を判断することはできません。国ごとの公開規模や上映時期、再上映の有無なども興行成績に影響するためです。
一方、『君の名は。』は2016年に公開され、国内興行収入251.7億円を記録しました。青春、恋愛、災害の記憶といった要素を組み合わせ、幅広い観客を劇場に呼び込んだ作品です。『千と千尋の神隠し』とは公開時代も宣伝環境も違いますが、アニメーション映画が大きな市場を形成できることを示した点では共通しています。
比較の際に見落としやすいのが、国内興行収入と世界興行収入の違いです。今回の316.8億円は日本国内の累計であり、海外での上映成績を合算した金額ではありません。海外を含めた人気を調べるなら、世界興収や各国での公開実績を別途確認する必要があります。
【なぜ今も高く評価される?】受賞歴と作品が持つ普遍性
『千と千尋の神隠し』の価値は、興行収入の大きさだけでは説明できません。スタジオジブリの公式な歴史紹介によると、本作は公開時に観客動員約2,380万人、興行収入308億円を記録。海外でも高い評価を受け、2002年の第52回ベルリン国際映画祭では金熊賞、2003年の第75回アカデミー賞では長編アニメーション賞を受賞しました。
国際的な映画賞の受賞は、国内の大ヒットが一時的なブームだけで終わらなかったことを示す重要な実績です。映画としての完成度に加え、文化や言語が違う観客にも伝わる物語の力が評価されたと考えられます。
物語の中心にいる千尋は、突然知らない世界に放り込まれ、働くことや他者と関わることを通じて変化していきます。湯屋という独特の舞台、個性豊かな登場人物、善悪を単純に割り切れない描写は、子どもには冒険譚として、大人には成長や労働、名前と自己認識をめぐる物語として受け取れる余地があります。
この多層性は、世代を超えて鑑賞されやすい理由の一つです。公開時に劇場で観た世代が後年に再鑑賞し、当時まだ生まれていなかった世代が新たに作品に触れる。こうした鑑賞機会の広がりは、2020年の再上映で8.8億円を積み上げた事実とも整合します。
もちろん、作品の人気を再上映の数字だけで証明することはできません。しかし、公開から約19年後の再上映でまとまった興行収入を記録したことは、初公開時の観客だけでなく、時間を経て再び劇場で観る観客にも需要があったことを示しています。
【プロの結論】興行収入の記録を正しく読むための3つの基準
『千と千尋の神隠し』の興行収入をめぐる経緯から得られる教訓は、映画ランキングを単なる順位表として扱わないことです。数字を正確に理解するには、次の3点を確認する必要があります。
- 1.集計日を確認する:ランキングは新作のヒットや上映中作品の成績更新によって変わります。2026年の最新順位を調べるなら、集計日が明記された興行通信社の「歴代興収ベスト100」を基準にするのが適切です。
- 2.再上映分が含まれているか確認する:本作の308億円と316.8億円の違いは、2020年の再上映による8.8億円の加算です。旧記事と新しいランキングの金額を比較する際には、累計の範囲をそろえます。
- 3.国内と世界の数字を混同しない:国内興行収入は日本国内の成績、世界興行収入は海外市場を含む成績です。作品の国際的な規模や人気を比較するなら、同じ基準の数字を並べる必要があります。
この基準で整理すると、『千と千尋の神隠し』の316.8億円は、2001年公開時の308億円に2020年の再上映分を加えた国内累計であり、2026年10月25日現在の歴代3位という位置づけも明確になります。
『鬼滅の刃』の2作品が上回ったことは、過去の記録が色あせたことを意味しません。映画の興行記録は新作によって更新されますが、作品の評価や文化的な影響は順位だけで決まらないからです。興行収入という数字と、作品そのものの価値を分けて考えることが、ランキングを読み解くうえで最も大切な視点です。
【千と千尋興行収入】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:千と千尋の神隠しの興行収入は2026年現在いくらですか?
A1:国内累計316億8,000万円です。興行通信社の「歴代興収ベスト100」では、2026年10月25日現在、国内歴代3位となっています。
Q2:なぜ興行収入が308億円から316.8億円に増えたのですか?
A2:2020年6月から8月にかけて行われた再上映で8.8億円を記録し、その分が累計に加算されたためです。東宝は2020年12月15日に316.8億円への改定を発表しました。
Q3:千と千尋の神隠しは鬼滅の刃に抜かれたのですか?
A3:はい。2020年12月27日までに『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』が316.8億円を突破し、国内歴代1位になりました。2026年10月25日現在は同作が407.5億円で1位、『鬼滅の刃 無限城編 第一章』が403.6億円で2位、『千と千尋の神隠し』が316.8億円で3位です。
『千と千尋の神隠し』の国内興行収入は316.8億円で、2026年10月25日現在の歴代3位です。2001年の公開時に308億円を記録し、2020年の再上映で8.8億円が加算されたことによって、現在の累計額になりました。
その後、『鬼滅の刃 無限列車編』が407.5億円で首位に立ち、『鬼滅の刃 無限城編 第一章』も403.6億円を記録しています。それでも、『千と千尋の神隠し』は長期にわたる興行実績と国際的な受賞歴を持つ、日本映画史を語るうえで欠かせない作品です。
今後、再上映や新作のヒットによって順位が変わる可能性はあります。最新の順位を知りたい場合はランキングの集計日を、過去の数字を比較したい場合は再上映分の加算時期を確認する。この2点を押さえておけば、興行収入の変遷と作品の歴史を混同せずに理解できます。