アパレル企業のTOKYO BASE(トウキョウベース)は、2024年3月に新卒採用の初任給を月額30万円から40万円へ引き上げる方針を発表し、ファッション業界でも異例の高水準として注目を集めました。一方、2026年の新卒採用情報には営業職の月給33万円という条件も掲載されています。「初任給40万円」は現在も全職種に適用されるのか、それとも職種によって給与が違うのか。就職活動中の学生や転職希望者にとって、見逃せないポイントです。
2026年10月時点で確認できるTOKYO BASEの公式発表、2027年卒向け採用情報、決算資料、有価証券報告書をもとに、初任給40万円と33万円の違い、基本給と固定残業代の内訳、賞与・インセンティブ、平均年収、働き方まで整理します。月給の数字だけでは見えない、入社前に確認すべき給与条件も解説します。
【2026年最新】TOKYO BASEの初任給は40万円?営業職33万円との違い

2026年のTOKYO BASEの初任給を調べると、月給40万円と月給33万円という2つの数字が見つかります。これは単純な誤記として片付けられるものではありません。現在の採用情報では、総合職と営業職で異なる給与条件が掲載されているためです。
リクナビの2027年卒向け総合職採用情報では、初任給は月給40万円です。一方、マイナビの2027年卒向け新卒営業職採用情報では、2026年1月実績として月給33万円が示されています。
ただし、TOKYO BASEは2024年3月12日の公式発表で、学歴や年次にかかわらず新卒採用の初任給を一律40万円に引き上げると説明していました。2026年3月17日公表の2026年1月期通期決算説明資料でも、初任給40万円を業界最高水準の基本給設定として取り上げています。
その一方、現行の採用媒体には営業職33万円の条件もあります。過去の一律40万円という発表だけで、現在募集されているすべての職種が同一条件だと判断するのは適切ではありません。応募するコースと適用される給与規定を確認する必要があります。
まずは、公開されている採用情報の違いを整理しましょう。
- 総合職:月給40万円。固定残業代は80時間分として掲載され、賞与は年2回の業績連動型。
- 新卒営業職:月給33万円。固定残業代は45時間分として掲載され、顧客売上手当やインセンティブなどの制度がある。
- 店舗採用の営業職:公式採用ページにも月給33万円以上という条件が掲載されている。総合職への登用制度も設けられている。
重要なのは、40万円と33万円のどちらか一方だけを「TOKYO BASEの初任給」と決めつけないことです。特に新卒採用では、職種名、雇用区分、総合職への昇格条件まで確認しておくと、入社後の認識違いを防ぎやすくなります。
【給与内訳を比較】基本給・固定残業代・通勤手当はいくら?
初任給40万円という数字を見ると、基本給そのものが40万円だと考えがちです。しかし、TOKYO BASEの採用情報では、月給の中に固定残業代や一律手当が含まれています。
リクナビの総合職募集要項とマイナビの営業職募集要項を比較すると、月給の構成は次のとおりです。
| 給与項目 | 総合職 | 新卒営業職 |
|---|---|---|
| 月給 | 400,000円 | 330,000円 |
| 基本給 | 203,000円 | 204,000円 |
| 固定残業代 | 172,000円(80時間分) | 100,000円(45時間分) |
| 一律の通勤・皆勤・家族手当欄の金額 | 20,000円 | 20,000円(通勤手当) |
| その他の一律手当 | 5,000円 | 6,000円(販売手当) |
| 月給に含まれる手当の合計 | 197,000円 | 126,000円 |
| 賞与 | 年2回・業績連動 | マイナビ掲載では総合職昇格後に年2回・業績連動 |
| インセンティブ | 別途支給 | 別途支給 |
※金額は各採用情報に掲載された条件に基づきます。募集コースや採用媒体によって記載内容に差があるため、応募時には最新の募集要項と個別の労働条件通知書を確認してください。
ここで注目したいのが、月給40万円の総合職でも、基本給は20万3,000円という点です。営業職の基本給は20万4,000円なので、基本給だけを比べると、月給33万円の営業職のほうが1,000円高くなっています。
月給の差額7万円は、基本給の差ではなく、主に固定残業代の違いから生まれています。総合職の固定残業代は17万2,000円、営業職は10万円で、その差は7万2,000円です。一律手当の差などを加味すると、総支給額の差が7万円になります。
つまり、初任給40万円という見出しだけで、基本給も営業職より大幅に高いと考えるのは誤解です。将来的な昇給や賞与、残業代の算定などを考える際には、月給の総額だけでなく、基本給と手当の内訳を確認する必要があります。
なお、営業職の固定残業代は、マイナビの新卒採用情報では10万円とされていますが、TOKYO BASEの公式店舗採用ページでは月10万1,000円以上という記載もあります。募集区分によって金額が異なる可能性があるため、個別の雇用条件で確認するのが確実です。
【固定残業代の注意点】45時間で10万円、80時間で17万2,000円の意味
TOKYO BASEの給与条件を理解するうえで、特に慎重に確認したいのが固定残業代です。総合職は80時間分で17万2,000円、営業職は45時間分で10万円と、設定されている時間数に大きな違いがあります。
固定残業代とは、一定時間分の時間外労働に対する割増賃金を、毎月の給与にあらかじめ含めて支給する仕組みです。対象時間に相当する金額が固定で支給されるものであり、実際の残業時間がその時間数に達しなければ支給されない、という仕組みではありません。
また、固定残業代が設定されていても、実際の時間外労働がその対象時間を超えた場合には、原則として超過分の割増賃金が別途支払われます。TOKYO BASEの募集情報にも、固定残業時間を超過した場合は追加支給する旨が記載されています。
ただし、固定残業時間の設定は、実際に何時間働くことになるかを直接示すものではありません。固定残業80時間という記載だけで「毎月80時間の残業が必須」と断定することも、逆に「残業は少ない」と判断することもできません。
同社の公式店舗採用ページには、2023年度の平均残業時間として月20時間という数字が掲載されています。また、リクナビの総合職採用情報にも月平均所定外労働時間20時間という記載があります。ただし、これらは募集情報に記載された平均値であり、配属店舗や職種、繁忙期によって実際の労働時間が変わる可能性があります。
入社前に確認しておきたいのは、次の4点です。
- 固定残業代の対象時間と金額が、内定時の労働条件通知書にも明記されているか。
- 固定残業時間を超えた場合の追加支給が、どのように計算されるか。
- 配属予定の職種や店舗における実際の残業時間はどの程度か。
- 繁忙期や棚卸し、売場変更などを含め、勤務時間がどのように管理されているか。
月給40万円という金額の魅力だけでなく、固定残業代を含めた給与設計と実際の働き方をセットで評価することが、入社後のミスマッチを防ぐポイントです。
【年収はいくら?】賞与・インセンティブと平均年収678万円の実態
TOKYO BASEの年収を考える場合、初任給を12倍した金額と、実際の年間給与を分けて考える必要があります。月給40万円なら単純計算で年間480万円、月給33万円なら年間396万円です。いずれも毎月の月給が12か月支給されたと仮定した金額で、賞与やインセンティブ、その他の変動給は含みません。
総合職の採用情報では、賞与は年2回、4月と10月に業績連動型で支給されるとされています。また、インセンティブと賞与は月給とは別に支給される条件です。一方、マイナビの新卒営業職採用情報では、昇給と賞与は総合職に昇格した後の条件として記載されています。営業職のまま働く場合の賞与の扱いは、募集コースごとに確認したいポイントです。
営業職の収入を左右するのが、個人や店舗の成果に連動するインセンティブです。TOKYO BASEの公式店舗採用ページでは、店舗の予算達成率に応じたインセンティブ、ブランドごとの個人実績ランキングに応じたインセンティブ、顧客売上手当などが紹介されています。
同ページでは、店舗予算の達成率が120%の場合、店長への支給例として月9万円、個人実績ランキングの売上1位への支給例として月10万円が示されています。これらは特定の条件に基づく例であり、全社員が毎月受け取れる金額ではありません。支給対象や評価条件を確認する必要があります。
では、会社全体の年収水準はどうでしょうか。2026年1月期の有価証券報告書に基づく提出会社単体の平均年間給与は、678万7,000円です。同時点の平均年齢は27.1歳、平均勤続年数は2.1年とされています。
平均年間給与には賞与や基準外賃金が含まれます。そのため、678万7,000円を新卒社員の標準年収と捉えるのは適切ではありません。役職、職種、勤続年数、インセンティブの有無などによって、個人の年収は変わります。
平均年齢が若いことや平均勤続年数が短いことも、数字だけで職場の良し悪しを判断する材料にはなりません。ただし、入社後のキャリア形成や昇格を検討する際には、若手社員がどのような条件で評価され、どの程度の期間で昇格しているのかを採用担当者に確認する価値があります。
【なぜ初任給を引き上げた?】TOKYO BASEの経営戦略と採用方針
TOKYO BASEが初任給を引き上げた背景には、単に新卒採用で目立つ給与を提示するだけではなく、ファッション業界における人材獲得と事業成長を結びつける狙いがあります。
2024年3月12日の公式発表では、同社は新卒初任給を月額30万円から40万円へ引き上げると説明しました。対象は2024年4月入社以降の新入社員で、固定残業代と固定交通費を含む月額支給額です。併せて既存の正社員にもベースアップを実施し、当時の新給与体系では全正社員の月額支給額が40万円以上になると発表していました。
同社が説明した引き上げの理由は、大きく3つあります。
1つ目は、ファッション業界の待遇水準を引き上げることです。同社は「日本一のファッション企業」を目指す方針を掲げ、給与水準の向上によって、従来はファッション業界を選択してこなかった人材の採用も目指すと説明しました。
2つ目は、グローバル展開を見据えた人材投資です。公式発表では、販売スタッフの仕事は接客だけではなく、多岐にわたる業務を担うことから、その対価を適正化する考えが示されています。売場づくりや顧客との関係構築、商品管理、SNS発信など、現場の業務範囲を広く捉えた給与設計です。
3つ目は、高い給与水準を支えるビジネスモデルの構築です。同社は東京・名古屋・大阪の中価格帯以上の商業施設を中心とした出店、低価格帯事業の見直し、営業力の強化などを進めてきたと説明しています。人件費を増やすだけでなく、販売生産性を高め、継続的に給与を支払える収益構造を目指す考え方です。
この方針は、2026年3月17日に公表された2026年1月期通期決算説明資料にも表れています。同資料によると、2026年1月期の連結売上高は237億3,000万円で前期比17.5%増、営業利益は19億5,600万円で前期比32.9%増でした。また、新卒入社数は2024年の45人から2025年の69人、2026年の84人へ増加し、2027年の計画は150人とされています。
同社は決算説明資料で、初任給40万円と採用基準の見直しによって採用の質を向上させる方針を掲げるとともに、営業スタッフの正社員化を進めたことも説明しています。給与水準の引き上げを、採用人数だけでなく、接客力や販売生産性を高めるための施策として位置付けていることが分かります。
もっとも、業績が伸びていることと、すべての社員が高い年収を得られることは別の話です。初任給の水準に加え、職種別の昇給制度、賞与の支給条件、インセンティブの達成基準を確認が必要です。
【評判・働き方を検証】TOKYO BASEに向いている人、慎重に考えたい人
TOKYO BASEへの入社を検討する際は、給与の高さだけでなく、同社が掲げる仕事の考え方やキャリア形成の仕組みも確認したいところです。
公式採用サイトでは、同社の評価方針として「結果主義」を掲げています。会社の説明では、結果とは単純な売上数字だけではなく、お客様からの評価を意味し、営業やEC、デザイナー、バイヤーなどの職種でも顧客に評価された人を評価するという考え方です。
また、総合職の新卒採用情報では、入社後に店頭で経験を積み、その後、営業、EC運営、マーケティング、商品仕入れ、商品企画、広報などへキャリアを広げる方針が紹介されています。年齢や社歴にかかわらず、成果に応じて責任ある役割に抜擢することも、同社が打ち出している特徴です。
こうした制度から考えると、TOKYO BASEは次のような人に向いている可能性があります。
- ファッションが好きで、接客や顧客づくりに関心がある人:商品を売るだけでなく、お客様との関係を深める仕事に取り組みたい人。
- 成果に応じた評価を求める人:個人売上や店舗実績など、自分の行動と成果のつながりを意識して働きたい人。
- 若いうちからキャリアの幅を広げたい人:販売経験を起点に、商品企画やEC、マーケティング、海外事業などへ挑戦したい人。
一方で、次のような希望が強い人は、入社前に条件を慎重に比較する必要があります。
- 月給の大半が基本給であることを重視する人:月給40万円のうち、基本給と固定残業代の割合を確認したい人。
- 賞与が毎年一定額支給されることを重視する人:業績連動型の賞与や、総合職への昇格前後の待遇差を確認したい人。
- 勤務時間や休日の予測しやすさを重視する人:店舗のシフト、繁忙期の残業、配属先の実態を具体的に確認したい人。
「評判が良いか悪いか」という一言で会社を判断するよりも、給与体系と評価方針が自分の価値観に合うかを考えるほうが、入社後の満足度を見極めやすくなります。
特に確認したいのは、総合職への昇格条件です。公式店舗採用ページには、営業職から総合職への登用制度があり、総合職では月給40万円以上、賞与年2回などの待遇が紹介されています。ただし、登用時期や昇格基準は個人の成果や制度の運用によって異なる可能性があるため、募集時点での条件を採用担当者に確認しましょう。
【TOKYO BASEの初任給】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:TOKYO BASEの初任給は2026年に40万円で確定していますか?
総合職の採用情報には月給40万円が掲載されています。一方、2027年卒向けの新卒営業職採用情報には月給33万円と記載されています。2024年の一律40万円という発表と現行の職種別募集情報を踏まえ、応募するコースに適用される給与条件を確認してください。
Q2:月給40万円には固定残業代が含まれていますか?
はい。総合職の募集情報では、基本給20万3,000円、固定残業代17万2,000円(80時間分)、一律手当2万円、その他の一律手当5,000円で月給40万円となっています。固定残業時間を超えた場合の追加支給についても、雇用条件を確認しましょう。
Q3:営業職の初任給33万円にはインセンティブが含まれますか?
採用情報では、月給33万円とは別にインセンティブが支給される条件です。顧客売上手当や個人実績、店舗予算達成率に連動する制度が紹介されています。ただし、支給額や対象条件は制度によって異なり、毎月一定額が保証されるものではありません。
Q4:TOKYO BASEの平均年収はいくらですか?
2026年1月期の有価証券報告書に基づく提出会社単体の平均年間給与は678万7,000円です。賞与や基準外賃金を含む会社全体の平均であり、新卒社員の標準年収を示す数字ではありません。
Q5:営業職と総合職では賞与に違いがありますか?
総合職の採用情報では年2回の業績連動型賞与が掲載されています。一方、マイナビの新卒営業職採用情報では、賞与は総合職への昇格後に年2回支給と記載されています。営業職として入社する場合は、昇格前の賞与の扱いと、総合職への登用条件を確認することが大切です。
【プロの結論】初任給の数字だけで判断せず、内訳とキャリア条件を確認する
TOKYO BASEの初任給は、2026年の採用情報を見ると、総合職の月給40万円と新卒営業職の月給33万円という2つの条件が確認できます。2024年には一律40万円への引き上げが発表され、2026年の決算説明資料でも初任給40万円が取り上げられていますが、現行の職種別採用情報には異なる金額が掲載されています。
この差を理解するうえで最も重要なのは、月給の総額だけで比較しないことです。総合職は基本給20万3,000円に80時間分の固定残業代17万2,000円などを含み、営業職は基本給20万4,000円に45時間分の固定残業代10万円などを含みます。月給の差額7万円は、基本給よりも固定残業代の違いに大きく左右されています。
また、賞与やインセンティブの支給条件、総合職への昇格制度、実際の残業時間も年収や働き方を左右します。平均年収678万7,000円という数字も、全社員の平均であって、新卒社員がその水準からスタートすることを意味しません。
応募や内定承諾の前には、少なくとも次の項目を確認しておきましょう。
- 採用コースと職種に適用される月給
- 基本給、固定残業代、各種一律手当の内訳
- 固定残業時間を超えた場合の追加支給条件
- 賞与の支給対象、支給時期、業績による変動
- インセンティブの対象条件と評価基準
- 総合職への昇格条件、昇格後の給与と賞与
- 配属先の実際の残業時間、シフト、休日制度
高い初任給は、企業が人材に投資する姿勢を知るうえで重要な情報です。ただし、長期的な待遇を判断するには、毎月の給与を構成する基本給と手当、評価制度、昇格後の条件まで見る必要があります。TOKYO BASEへの就職を検討するなら、月給40万円という数字だけでなく、どの職種で、どのような条件で働き、どのようにキャリアを伸ばせるのかまで確認することが、納得できる選択につながります。